『わるじい慈剣帖 2』風野真知雄 著
タイトルに惑わされています。
メリークリスマス。
イブの日曜、帰省の準備と大掃除とでまったくクリスマスらしいこともせず、ケーキもプレゼントも何もない2023年である。年末に帰省する際に持参するお土産は購入したので、本当に普通のなんでもない週末を過ごしてしまった。
その証拠に映画やドラマなどでクリスマスを盛り上げることもなく、黙々と時代小説を読んでいたので日本らしい年末を送っていると言えるかもしれない。ということで、この頃読んでいるシリーズを読む。まとめて3冊分。
こうして記録を残す頃になってようやくシリーズの順番に気が付くのだが、今朝また新たに分かった事。本シリーズ一つ目は秘剣帖、2つ目は慈剣帖、そして3つ目が義剣帖らしい。義剣帖が2つ目だと思っていたが、慈剣帖が正解とのこと。ややこしいなあ。
このシリーズ、秘剣帖を読んで登場人物の特徴をしっかりつかまない限り、慈剣帖の理解度や楽しみ方は半減どころか次作がものすごくつまらないものに感じられるので要注意。
慈剣帖に入っての大きな違いは桃子の成長である。桃子は主人公の愛坂桃太郎の孫で、桃太郎の長男、仁吾が日本橋芸者の珠子に産ませた子である。目に入れても痛くないほどかわいい孫娘の桃子がハイハイしたと大騒ぎ、つかまり立ちしたと歓喜、なにか喋ったと踊り出しそうな勢いで桃子の成長を見守っている。読者もついついその喜びにひっぱられてしまい、なんとなくめでたい気分になってくるのが本シリーズの良い所。
さて、秘剣帖から慈剣帖に代わってもう一つ大きな変化といえば、引っ越しだ。もともと住んでいた日本橋のかわうそ長屋は桃太郎が一時目付の仕事に復帰し川崎に行っていた時、町が家事で焼失。桃太郎もおらず、行き先を探していた珠子は知り合いの医師、中山中山(なかやまちゅうざんと読む)と偶然出会い、中山が大阪へ行っている1年の間だけ長屋で留守番を兼ねた仮住まいとなった。
そこの大家の卯右衛門も面白い人物で、蕎麦屋を営む傍ら桃太郎に事件を持ち込んでくる。目下の課題は中山の家にあるエレキテルという機械だ。これが幕府に難題を及ぼすと北町奉行所の森山という与力がなにかと嫌がらせをかけてくる。珠子や桃子へ心無い言葉を浴びせる森山のことが気に入らない桃太郎は、どうにかして懲らしめたいと奮闘しているところだ。
それにしてもこのシリーズ、3作目まで続くということは人気シリーズなのだろう。個人的には味見方シリーズのほうが好み。