#849 ああ、ここを読まないと続きの面白さはわからない!~「わるじい秘剣帖9~10」
『わるじい秘剣帖9~10』風野真知雄 著
シリーズ1の終わり。
今年の年末はカレンダー通りの30日までの営業なのだが、思い切って有休を使いちょっと早めに休みに入ることにした。年末のご挨拶で、年の越し方についておしゃべりしていると「今年は久々に実家に帰ります」と言う方が多くいらっしゃった。年始は長いところで成人の日までお休みという企業さんでは旅行に行かれる方も多かった。
会社では割と年末の話がちらほら出てはいるのだが、なぜか気持ち的に年末感というか、もう明後日はクリスマスイブだというのにクリスマスソングすら聴いていない。毎年楽しみにチェックしていたクリスマスケーキすら見ていないかも。
唯一の年末行事といえば大掃除だろうか。師走を感じられるのが掃除だけというのもちょっと悲しい。そこで考えた。きっと時代小説ばかり読んでるから思いっきり西洋イベントのクリスマスのことを忘れていたのだ!
ということで、このシリーズの失敗談。
わるじいこと愛坂桃太郎が主人公の本シリーズ、時代小説あるあるでちょっとタイトルがわかりにくい。シリーズは2つに分かれており、それぞれ10巻である。まず、シリーズ1作目は「秘剣帖」、2作目が「義剣帖」なのだが、漢字一字が違うのみでシリーズが2つあると知らなければ読む順番を間違えてしまう。というか、そういう間違いをしでかす人は私だけなのだろうか?時代小説、タイトルから読む順番がわからないことが多く、マンガのように同タイトルで1とか2とか数字で順番表して欲しい。あと「続」とか「シーズン2」みたいな感じで「この前に別の関連シリーズがありますよー」なアピールを強めに出して頂けると助かります。
さて、そのシリーズ1の終わりの2冊を一気に読み、すでに既読のシリーズ2の最初の2冊を読みなおした。4冊を1日で読めてしまうほど軽く読めるのでおススメです。
桃太郎の外孫である桃子は、長男の仁吾と日本橋芸者の珠子の間に産まれた。しかし仁吾は嫁が強すぎで外にできた娘など到底受け入れられるタイプではない。そしてすでに二人には3人の息子があり、跡継ぎにも困っていないのだ。しかし偶然桃子の存在を知った桃太郎は孫娘がかわいくて仕方がなく、ついには珠子のいる長屋に引っ越してしまった。
桃太郎と親友の朝比奈はすでに家督を息子にゆずり、今は悠々自適の隠居ライフを楽しんでいる。桃太郎の目下の楽しみは桃子の成長だだ一つ。桃子にかかるであろう悪を全て断絶しようという勢いで日々を過ごしている。
秘剣帖の終わりの2巻では、その桃子の母親である珠子が物語の中心にある。芸者としての技量もさることながら、珠子はおしゃれで美しい女性であった。よってお座敷では大店の主や大名あたりの武家からも声が掛かる。今回もそんな珠子を取り合う危険な男たちが桃子の生活を脅かし兼ねないと桃太郎は奮闘する。
桃太郎と朝比奈の長男は目付という旗本を取り締まる仕事を受け継いだが、まだまだオヤジ世代ほどの活躍ができてはいない。ところが今回とんでもない事件を耳にし、隠密で調査に当たっていた。それがとうとう大事件になり、桃太郎までもが引き合いに出される。
最後の2巻は大きな大きな動きがあったせいかかなりの読みごたえがある。この成り行きを知らずにシリーズ2の「義剣帖」を読んでも、さっぱりそのダイナミックさが伝わってこない。なるほど、やっぱり順序良く読むべきものだと既読の義剣帖2冊も読みなおしたのだが、やっぱり印象ががらりと変わった。
この勢いで年内に残り全部読み終える予定。あとクリスマスくらいはそれらしい作品を読みたい。
皆様、ステキなクリスマスをお過ごしくださいませ。