Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#842 年末疲れからの息抜き読書~「わるじい義剣帖1」

『わるじい義剣帖 1』風野真知雄 著

桃。

 

気を付けていたつもりなのだが、朝から鼻がぐずぐず。昨日、会社にいる間「少し寒いなあ」と感じており、なんとなく体に疲れがたまっていたので定時で退勤したにも関わらず、体調管理が上手く行っていない。ああ、早く治さなければ。

 

治すといえば、Kindle。こちらは直すというか、あれこれ検索でもして対応すればよい話なのだが、とりあえず再起動したところ「未読」「既読」の選択が可能になった!あとは買ったばかりのKindle Subscribeが一日も早く手に馴染むようにどんどん使いこなしていきたい。本来の目的はビジネス書の読書なので、仕事本もアップしていこう。

 

今日もKindle内でさっと目についた作品から読んでいくことにした。こちらは以前のAmazonイベント時にまとめ買いしたシリーズもので、著者の世界(どちらかというと笑える時代小説)にはまってしまい、セール時にまとめ買いするようにしている。こうもどハマりした理由は、味見方という江戸の食や生活をつぶさに観察することで事前に悪事を食い止めようという南町奉行所の特別編成チームのお話が面白かったからだ。

 

著者の作品は出てくる人そのものが面白い。こんな人、周りにいたら楽しいだろうなーと思える人物が割とお堅いお役人だったりするので、そのギャップ萌えもある。日頃オフィスでお化けや怪獣のような問題たっぷりの大人と接しているせいか、心根温かい人に惹かれるところも大きい。

 

さて、今回の主人公はタイトルにもあるように悪い爺さんだ。悪いといっても極悪人ではなく、若い頃にやんちゃだったというだけのこと。しかも名前がこれまた憎めない。名を愛坂桃太郎という。桃太郎といえば猿雉犬とともに鬼退治に行った超スーパーヒーローなわけで、悪さとは反対のイメージにいる代表格だ。こちらの桃太郎は身分は旗本で、目付としての千代田のお城勤める立派な武士である。決してその名に負けてはいなかった。生来のやんちゃっぷりを発揮して悪者退治に勤しむ日々だったのだが、今は目付の仕事を息子に譲り、楽しい楽しい隠居生活を過ごしている。

 

わるじいの息子もやっぱりやんちゃの血を引いたようで、妻との間にいる3人の息子の他、外に娘が一人いる。妻はその子の存在を知らず、祖父母である桃太郎らは公式には認められてはいない孫娘であるが、桃太郎に至っては頻繁に孫娘の所へ通い甘やかしている。あまりの会いたさに同じ長屋に部屋を借りるほどの溺愛っぷりだ。孫娘の名は桃子。自分の名の一文字を継いでいることもあり、可愛くて仕方がない。桃子の母親は日本橋の芸者で珠子というのだが、美貌も芸もトップクラスである。桃子が生まれてからは家で三味線や小唄を教えており、芸者に戻って欲しいという声が周囲からも聞こえてくる。

 

桃子の父であり桃太郎の息子は、怪我のため一時お役目を休むこととなってしまった。その代わりに桃太郎に仕事が回ってきたため、仕方なく鎌倉まで出向くことになったのだが、桃子に会いたくてしょうがない。加えて、江戸で火事が起き、なんと珠子らの住む長屋が全焼したという噂を聞いて、居ても立っても居られない桃太郎。まずは仕事を片付けねばと荒業で解決して大急ぎで江戸に戻った。

 

家が焼けてしまった珠子は、久しぶりに出会った医師に1年間の期間限定で留守番を頼まれた。医師は1年程大阪に行く予定なので、その間に自宅に住んで、2階にある機械の埃を取るようにして欲しいと言う。簡単な仕事でもあるし、行く先のない珠子はそのまま医師の家のある八丁堀に暮らすことになった。

 

桃太郎は珠子が八丁堀に移り住んだと聞き、近くに家を探そうと試みた。珠子の住む長屋はもともと規模が小さく空きがない。どうしようかと八丁堀を行き来している間に、桃太郎は偶然珠子の長屋の大家と知り合いになり、事件を一つ解決する。そこからどんどんと縁が広がり、どうにか桃子の側に長屋を確保することとなった。

 

このお話、孫大好きなおじいさんのお話なのだが、桃太郎の年齢は恐らく還暦前だろう。そしてこのお話に共感できるお孫さんがいる世代の方のほうが楽しめるような気もする。しかし、桃太郎の孫娘をかわいがる様子はちょっと制限がない感じでそれはそれで面白い。町名主が解決する類の事件もあり、気楽に楽しめるシリーズのようなのでゆったり読んでいきたい。