Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#819 週末の江戸散歩~「耳袋秘帖 南町奉行と餓舎髑髏」

『耳袋秘帖 南町奉行と餓舎髑髏』 風野真知雄 著

謎の骨。

 

雨が降れば寒いし、晴れている日は日中まだうっすら暑い。一日の気温差の開きも大きく、この頃は体調管理が難しい。週末は外に出たい気持ちもあったのだが、大掃除の準備を兼ねて大きなゴミを片付けた。転勤族はつい次の引っ越しのことを考えてしまいがちで、来年あるかも…の準備も兼ねての掃除である。

 

さて、今読んでいるシリーズ物もあと数冊となったので早めに目を通すことに決めた。それにしても今回もタイトルがなんともヘビーである。耳袋秘帖も南町奉行も餓舎髑髏も変な四文字熟語みたいになっているが、内容の全てがタイトルに収められている。

 

 

要は、耳袋秘帖に書き残されるような謎の事件があり、餓舎髑髏と名付けられたその事件を南町奉行である根岸肥前守が解決するという内容ということなのだが、餓舎髑髏ってなによ?と誰もが思うに違いない。

 

餓舎髑髏はがしゃどくろと読む。どくろといえば、南町奉行所の夜回りの同心もどくろ言うが、漢字は土久呂だ。今回は夜回りのみならず根岸の周りを固める全ての同心と岡っ引たちが活躍するような大事件となった。

 

そもそもの発端は商家での事件だった。夜回り中になにやら怪しい動きを察知した同心の土久呂は、朝になっても戸を閉ざしたままの海産物問屋に異様な雰囲気を感じ取った。とりあえず様子を確認しようと戸をこじ開けると、そこは血の海だった。残された者はなく、通いの棚の者がやって来て、やっと何人がここにいたのかがわかるようなひどい有様だった。

 

駆け付けた同心の椀田と根岸の部下の宮尾も現場のすさまじさに驚きを隠せない。岡っ引のしめに至っては血は苦手と立ち入ることすら無理だった。現場は内側から戸締りがなされており一体だれがこのような事件を引き起こしたのかがわからない。調査を進めるうちに、この商家の裏には寺があり、隣には旗本が暮らしている。

 

周囲からもこの事件は祟りだとの声もあがるなか、南町奉行所は一歩一歩解決へと前進する。久々に生々しい事件と妖気の絡んだストーリーで読み応えのある一冊。

 

話しはそれるが週末に久々に有楽町方面を散歩。ああこの辺りに南町奉行所があったのね!と江戸を満喫しつつ本屋巡りをする。今度は東京駅の北町奉行所の辺りまで散歩することにしよう。秋は散歩と読書の季節です。