Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#741 祭が戻ってきましたね~「谷中黒猫殺人事件 耳袋秘帖」

『谷中黒猫殺人事件 耳袋秘帖』風野真知雄 著

シリーズ5冊目。

 

この頃読んでいるシリーズもの。八丁堀→浅草→深川→谷中でシリーズ5冊目となる。

 

 

この頃は観光客の往来もコロナ以前に戻りつつあり、谷根千あたりもまた活気を取り戻し始めたのではないだろうか。そろそろ江戸を探しに散歩に出かけたい気分になってきた。

 

この週末は何といっても久々の神田祭である。あいにくのお天気ではあったが、それでも町は活気づいていたような気がする。都合がつかず残念ながら見に行くことはできなかったが、祭りの雰囲気は都内に溢れており、なんとなく気持ちだけはウキウキしてくる。これが神田に住んでいる人ならばウキウキどころか走り回りたいような気分だったのではないだろうか。コロナの間、多くの行事が止まっていたが少しずつ「通常」が戻ってきたことを強く実感した次第。

 

さて、本書は神田に近い谷中のお話で、猫があつまる屋敷があるという。しかもそこにいるのは黒猫ばかりで見分けがつかないとか。実際には20匹くらいとのことだが、そっくりな猫が行き来するので50匹、100匹と人によって猫の数が増えていくほどの猫だらけらしい。

 

根岸が奉行を務める南町奉行所には地元のクレームなんかがやってくることもあり、今回は猫をどうにかして欲しいという話が舞い込んできた。その屋敷はかつて大店の別宅だったそうで、今はその娘たちが住んでいるという。やってきた娘に話を聞くと、かつて住んでいた家は泥棒が入り結局店を畳むに至ったという。しかも、泥棒による被害はあったが、印象的だったのは店側の人間が泥棒側を倒したということだ。剣の腕に自信のある店のものが捉えたというから奉行所でも驚きの事件として記憶されていた。

 

根岸も奉行所にある私邸で黒猫を飼っている。ある日根岸はその猫屋敷の夢を見た。庭にはたくさんの猫がいる。そして庭にだれかの躯が眠っている。恐ろしさにうなされて目を覚ますと、そこには飼い猫がいた。

 

猫はなんだか不思議の世界とつながる動物のように思えることがある。人には見えないものを見ていたり、そんな世界を良く知っているかのようだ。よって本書も猫の神秘を信じる心が生む謎話が込められている。

 

来週あたり活気が戻ってきた江戸を思い浮かべながら、散歩に出たいなあ。できれば梅雨の前に江戸散歩に出かけたい。