Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#828  1年越しの読書~「ハロウィーン・パーティー」

ハロウィーン・パーティーアガサ・クリスティ 著

ポアロシリーズ第36弾。

 

夏の出張の後続作業のため、数週間再び現地入りした。10月末の東京はまだまだ夏日が続いており、そのせいか寒いとわかっていながらも秋の装いを準備。それでも作業用の服の他にライトダウンベストを持参したのが良かった。現地はすでにダウンを着こみニットキャップを身に着ける人もいてすでに秋は遠ざかっている。11月に入ってからはクリスマスマーケットがオープンして一足早い冬を体験してきた。

 

今回の出張は時間的余裕が全くなく、Kindleを手にする時間すらなかった。いつもならば宿泊先に戻ってから寝るまでの間や週末に読書を楽しんでいたのだが、今回は週末もなく宿泊先に戻ってから何をしていたのか記憶がない。仕事的には充実していたので良かったと言えば良かったし、機会があればまたあの街に行きたい、いや暮らしてみたいとも思うので得たものは大きかったかも。

 

さて、実は本書は昨年のハロウィンの頃に読んでいたものだ。ところがこの本を読んでいた最中ソウルで痛ましい事件があり、少し時間を置いてから読もうと決めた。そして1年経った今、最初からもう一度読んでみることにした。行きの機内で読み始める。

 

Title: Hallowe’en Party

Publication date: Nov 1969

Translator: 中村能三

 

現在は新しい翻訳版が出ているので今から読むならそちらをおすすめしたい。

 

勝手なイメージだが、ヨーロッパではハロウィンを祝うと言うイメージが薄く、どちらかといえば北米のお祭り的な印象が強かった。しかしアガサがこれを書いた頃はイギリスでも楽しんでいたということなのだろう。

 

今回はポアロの友人で作家のアリアドニ婦人がお友達の住む街に滞在するところからストーリーが始まる。いつもの通り彼女は大好物のりんごを食べつつ、友人宅で楽しく過ごしていた。友人とはかつての船旅で出会い、それから意気投合して付き合いが続いているそうだ。

 

ちょうどその頃はハロウィンであった。彼女が滞在する街の学校でもハロウィンのような学生たちが集うパーティーが開かれる予定で、大人も総出で準備を行っていた。準備の中で学生の一人がアリアドニ婦人に「殺人を見たことがある」と衝撃的な告白をする。周りの学生たちは彼女の言葉を本気とは受け取らない風だ。というのも彼女はいつも嘘をついていたから。注目を集めるために、そしてこの日はアリアドニ婦人がいたからこそ事件に関連するような嘘を言ったのだ、それが街の人々の意見だった。

 

大急ぎで準備を終え、それからハロウィーンパーティーが始まった。昔ながらのゲームを中心に多くの人がパーティーを支えている。今回の作品も学生が多く登場することから人の出入りがものすごく多い。

 

無事に会は終わりを迎えたが、ところがそこで事件が起きていた。準備の時に注目を集めようとした子が命を落としていた。ショックを受けたアリアドニ婦人はすぐにポアロに連絡を取り、事件の解決を求める。

 

1度目に読んだ時、解決までの道が寄り道が多いような気がして集中力が切れることが多かった。1年ぶりに本を読み、一息に読むことはできたものの満足感は少なかったかもしれない。

 

そういえばヨーロッパの10月最後の日曜日はサマータイムの終わりの日で、1時間の時が戻される。その時のずれが神秘性を生み、収穫祭から今のような形に変化したのだろうか。そういえば農家さんではたくさんのかぼちゃ祭りをやってたなあ。

 

これをきっかけにこの冬はまたアガサ作品を読んでいきたい。

 

評価:☆☆☆

おもしろさ:☆☆☆

読みやすさ:☆☆☆