Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#809 フィンランドの雰囲気満載~「ホテル・メッツァペウラへようこそ」

『ホテル・メッツァペウラへようこそ』福田星良 著

フィンランドの雪。

 

あと数日で終わってしまう夏休み。気が付けば10月に入っているにも関わらず、未だ晩夏のような日々である。今年こそ秋冬のコートを新調したいと思っているのだが、未だ夏バテのようなだるさが抜けずでショッピングに出る気力もない。いちぢくばっかり食べてます。

 

今まで衣類もオンラインで購入していたのだが、結局購入前に試着したほうが効率がよいと感じるに至った。というのも、サイズが合わないとか、思っていたのと違うとか、不良品だったなど、返品対応するのが面倒だ。加えて、ネットだと余計なものを買ってしまいがちで、結局それが返品したくなるような品の場合、クローゼットの肥やしにもならずただただ場所を取るだけとなる。なんとなく着れそうと思っても今まで絶対に袖を通すことがなかったことから、実際に品物を確認してから買うことに決めた。オンラインでの衣類購入は結構気力と体力と時間がかかるし、無駄にしたお金も多かったかも。

 

コートのことを考えながら、そうだ買っておいたマンガを読もうと考える。いつもは1巻目を購入して面白かったら続きを買うようにしているのだが、今回はなぜか間違えて4巻目を先に購入してしまい、結局現時点で発売済の1巻から4巻までをまとめて購入することになった。でも結論としてこれは買って正解の作品でした。

 

舞台はフィンランドラップランド。雪が多く、オーロラが見えるような所だ。お客はそれほど多くない。料理長のクスターと館長のアードルフの二人が営むホテル・メッツァペウラの前に、ある日一人の男が佇んでいた。男に気付いた二人はすぐに外へ出て何用かと尋ねるも、その男は目の前で倒れてしまう。

 

すぐに中に入れて手当をするが、男は金もなく泊まるところも無いという。困った人を助けたい質の二人は彼に食事を与え、体を温めろと言う。そう、フィンランド人にとって体を温めるとはサウナのことである。男は言われるがままにサウナに入ろうとするが、その体には鮮やかな彫り物が施されていた。

 

聞くとまだ17歳で名前はジュン。アードルフが荷物をこっそりチェックすると、ジュンのカバンにはお菓子と日本のパスポートとぼろぼろの人形が入っているのみだった。しかし二人は何等かの事情があると見、ジュンをここで働かせようと決心する。

 

なぜフィンランドの山奥に日本人の男の子がたった一人で倒れそうになるまで歩いていたのか。これはストーリーのキーになる部分なのだが、ヒントとしてジュンは施設で育ったこと。そして母親に手を引かれて施設に入ったこと。その母親はフィンランド人であったこと、ここまでをメモとして残しておく。

 

とにかく驚くべきは本当にフィンランドにいるかのような、何とも言えない臨場感。きっとフィンランドについてものすごく調べておられると思うのだが、文化背景をイラストにするのは難しいことだろう。きっとフィンランドに住んで10年!とか、フィンランド研究の教授とかでもなければ違和感なく、ああこれこそフィンランド!と大満喫できること間違いなし。はじめて「かもめ食堂」を見たときのような、一発でフィンランドを好きにさせるような内容になっている。

 

これから先の流れが楽しみな作品。