Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#798 やっぱり続編きましたね!~「契り橋 あきない世傳 金と銀 特別巻(上」

『契り橋 あきない世傳 金と銀 特別巻(上)』髙田郁 著

続編スタート。

 

待ちに待った三連休が目の前とあり、ものすごく気持ち的に解放されている。というか、9月に入って初の休みですからね。今回こそ仕事をせずにだらだらと過ごしたい。ひとまず髪をどうにかしたいのと、整体行ってメンテしないと。すでにしっかり予約は入れてある。もう半月分たまりにたまった家計簿もどうにかしなくては。

 

そんな浮かれ気分で本書を読む。先日書店に行った際、続編が出ていることを知って小躍り。続きのありそうな終わり方だっただけに、ああ、やっぱり!と早速購入した。この間の「本所おけら長屋」もそうだが、タイミング良く続編が出てくれて感謝。これがいつものシリーズの続きだったら、また数巻前から読みたくなってしまうので、特別巻でさくっと読めたのは気持ち的にも体調的にもありがたい。

 

さて、今回の特別編は何が異なるのかというと「視点」が変わったことが一番大きいだろう。シリーズでは主人公の幸の視点から書かれていたが、今回はそれぞれ別の人物からの視点でシリーズを振り返る流れになっている。昔そういう作品があった。恋愛モノで女性視点と男性視点で書かれていて、同じ出来事でもこんなにも感じ方が違うのかがよくわかる作品だったと記憶している。

 

本作ではくるくると主人公が変わる。まず最初は幸の二人目の夫であり、幸を置いて大阪を去り、江戸で再会した惣次だ。大阪を出てから再び再開するまでに何があったのか。今は井筒屋を名乗っており、お国言葉もすっかり消えている惣次にいったい何が起きたのか。

 

五鈴屋は決して表舞台の役割を果たさず、一歩引いた存在となっている。舞台の中で主人公ではなかった者にスポットライトを当てたスピンオフ。それぞれがどのような形で五鈴屋に接してきたのか、幸とはどのようなつながりを持ってきたのかが書かれてはいるが、彼らは彼らの道を歩んできている。それが本筋では語られることが無くどんどんと五鈴屋は成長していく。そこに後ろからスポットライトを当てなおした作品となっている。

 

さて、個人的な好みではあるが、私は惣次のような男性が結構好きだ。仕事ができて、がっちり体系。いけずなところもものすごく良い。しかし、物語のファンとしては、幸にはお似合いとは言い難く、その存在はちょっと目障りでもあった。でも個人的にはこういう男性、好きなのですよ。

 

本書を読み始めた時は「うわあ、惣次かー」と楽しみが半減するような気持ちとなったが、読み始めると幸びいきの視点がどんどんと変わってきて、「なに、惣次いいじゃん」と読み終わる頃にはかなり上機嫌に。

 

上巻とのことなので、次にまた春くらいに続編を読めるのかと思うとわくわくが止まらない。年末はしゃばけシリーズも出てくるし、やっぱり時代小説は楽しいですね。