Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#457 隠密から潜入へ!~ 「潜入 味見方同心1~3」

『潜入 味見方同心 1~3』風野真知雄 著

隠密シリーズの続編。

 

すっかり心奪われてしまい、ついに続編にも手を出してしまった。ストーリーの面白さに引き込まれ、思わず著者のお姿を検索したくらいにすっかりファンに!1巻ずつ記録を残そうと思ったが、これから読み終えなくてはならない本も多いので一気にまとめて記録しておくことにした。

 

9巻まである隠密シリーズでは、同心一家の兄が敵に打たれ弟が後を継いで北町奉行所に新設された味見方という仕事を担う。弟の魚之進は読みば読むほど愛嬌あるキャラクターで12冊も読めばすでに旧知の仲のような感覚だ。とにかく人情味に溢れていて、過信せず堅実に調査を進めて行くところがかっこいい。できる人を兄弟に持つと常に比べられてしまい、ちょっぴり卑屈になったりしそうなものだけれど魚之進にはそれがない。

 

そんな魚之進も潜入シリーズに入って見習いから同心として活躍している。それにしても隠密9巻の間が約1年強の出来事で、いくつもの大事件を解決しているからやっぱり月浦家は能力があるということだろう。

 

兄、波之進には町人から嫁いだ妻がいた。名をお静という。実家は乾物を扱っており、同心家よりも裕福だ。そしてお静は美形の兄の嫁にぴったりと言えるほどの美しさだった。兄が亡くなった後もしばらく一緒に月浦家で暮らしていたが、兄の一周忌を機に実家へ戻ることとなる。しかしすでに義姉への想いを募らせていた魚之進は隠密の最終巻で姉上へ行かないで欲しいと懇願する。それがまたいい所で終わってるんですよ!続きが読みたくてたまらなくなる仕掛けがこれでもか!というほどに施されている隠密9巻目だが、潜入シリーズではなんと隠密1巻に登場していたどじょうの絵を描く娘が再登場。女性が二人ということは、魚之進にもまた別の幸せがやってくるのだろうか。

 

3巻目までは淡々と事件をこなし、鋭利な推理で解決していく魚之進の姿が描かれている。そんな魚之進を意識してか、南町でも似たような役職を作り、人も3人ほど置くようだからライバルなんかも出て来たりしてこれからますます面白くなるに違いない。

 

こういう穏やかなお人柄で、知的で、実直な人と一緒に仕事をするなら、会社生活も楽しいだろうなあ。