Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#738 コスパ考えるとやっぱり読書が気分転換には一番だと思います~「 深川芸者殺人事件 耳袋秘帖」

『深川芸者殺人事件 耳袋秘帖 3』風野真知雄 著

吉原vs深川。

 

シリーズものを読みだすと、物語の中を漂っているような気分が楽しすぎる。そのせいか読み終わると「次もシリーズものが読みたい!」という気持ちになるのは、ものすごく没頭できるので現実逃避が可能となり、それがリラックス効果をもたらすからなのだろう。気分転換には旅行やショッピングもおススメだが、シリーズ本数千円でストレスがクリアになるならシリーズ小説ってものすごくコスパが良いのかも。

 

さて、今読んでいるシリーズものの時代小説も「時代小説あるある」でタイトルにナンバリングが無い。今何冊目で次に何を読むかもわからないことが多いので自分用メモにこちらがシリーズ4冊目と記しておく。本作では南町奉行所にとっては身近な人物が事件に巻き込まれる。

 

南町奉行の根岸には二人の側近がいる。一人は根岸家に仕えていた坂巻だ。根岸が南町奉行に着任するにあたり同道し、同心として働いている。もう一人は栗田という南町奉行所出身の同心で、奉行所の中でも剣の腕は抜群、そして人柄も真面目で根岸好みだ。

 

南町奉行所は表が奉行所なら裏には奉行の私邸が続いている。根岸の妻 おたかは数年前に他界しており、今は根岸と猫のお鈴が共に暮らす。私邸のやりくりのために根岸家から連れて来た女中もいるが、多くは奉行所に属するものである。その中の一人、お雪に惚れた部下の栗田は、根岸のサポートもあり無事に雪乃を嫁にした。婚姻後も二人は南町奉行所に勤め、根岸の周りを賑やかにしている。

 

50代の根岸には恋人がいる。決して妾として相手を縛ることのない仲にこだわっているらしく、相手もその関係で満足しているようだ。根岸の恋人は深川芸者の力丸と言う。深川芸者は吉原とは異なり「芸」を売る。唄、楽器、踊りなど、その力量のみが人を呼ぶ。加えて深川らしい気風の良さが深川芸者の魅力でもあり、吉原とは相反する魅力があったようだ。吉原が十二単のような着物を身に着け、髪も美しく結い、多くの飾りを施す反面、深川芸者は羽織姿で男名を名乗る。吉原が柔なら、深川は剛だ、

 

もちろん豪勢な吉原は象徴のような立場にあるが、深川の人気は日に日に高まり、大人の遊びならば深川へと考える根岸のような者もいた。それが本作での事件の鍵となる。いつものように根岸は力丸を座敷へ呼び出すも、珍しく力丸は遅れて到着した。そして長いせずに小唄を歌いすぐに座敷を去った。その後、力丸が行方不明となってしまう。

 

力丸の行方を追う奉行所だが、なかなか解決につながらない。そこへ栗田の新妻の雪乃までもが姿を消す。必死に探す南町の面々の前には思わぬ過去が覆いかぶさってきた。

 

本シリーズ、事件の解決に至る前までのストーリに深さや厚みがあって読み甲斐がある。5月病来る寸前という日々だが、このシリーズと共に乗り越えられますように!