Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#722 人と人との縁の深さ~「居眠り磐音 42~44」

『居眠り磐音 42~44』佐伯泰英 著

弟子たちの未来。

今年に入りずっと楽しんでいるシリーズものの時代小説。全51巻までで残すところあと数冊となってしまった。

 


42~44巻までの3冊では、磐音は40代となり、弟子たちが20代後半へと差し掛かっている。おこんとの間に生まれた空也はそろそろ小学校へあがる歳、娘の睦月もかわいい盛りだろう。

 

20代後半の磐音と言えば、まさに豊後関前藩で悪事の毒牙に友を失くし、失望の中、江戸へ出て来た頃だろう。そして金兵衛のいる六間長屋で暮らし始め、金兵衛の紹介で両替商今津屋の用心棒、今戸川での鰻さばきで口に糊をしていた頃だ。

 

今、小梅村に佐々木道場あらため尚武館坂崎道場を営む磐音のもとには数名の住み込みの弟子がいる。中でも辰平と利次郎は老中田沼の追手から身を隠した3年半の旅にも同行した。佐々木道場に通い始めた10代の頃はやせ軍鶏でぶ軍鶏と呼ばれていたが、今では立派な青年になっている。

 

そんな二人に恋の話が舞い込んでくる。しかし部屋住みと呼ばれる武家の嫡男以外の立場では家庭を持つにはまずは養子。士官の道など財政悪化の江戸ではほぼ閉ざされるに等しい状況だった。まず利次郎は門弟の霧子との結婚を考えている。しかし二人は次代将軍へと期待されていた家基の暗殺、それを守り切れなかったことを苦にに殉死した佐々木道場の主、玲圓とその妻おえい、そして佐々木道場を成敗しようとあの手この手で迫る老中田沼の闇を見届けるまで、尚武館に身を置くことを決めていた。

 

そんなある日、霧子が追っ手の毒矢に倒れた。すぐに毒抜きをし、磐音が懇意にしている蘭医の淳庵のもとへ担ぎ込むも、霧子の意識は回復せず昏々と眠り続けた。その日々は2カ月にもおよび、尚武館はみな霧子の回復を祈っていた。磐音は気を送り続け、ついに霧子は目を覚ます。

 

尚武庵は磐音を中心に家族のような絆の深さがある。日々相手を尊重し、信じ、日々剣の道に精進する。忍びの技を持つ霧子は、磐音の父が国家老を勤める関前藩の次期主となる俊次を猪牙船で川向うへと送る最中に襲われた。関前藩は命を助けてくれた尚武館へと更に深い縁を持つことになる。

 

またこの頃、関前藩は危機に襲われていた。田沼の手の者が入り、当主実高とお代の方との間を割き、お代の方に取り入って藩をつぶそうという企みがあった。このため、磐音の両親が密かに江戸入りしていたのだが、無事に解決となり江戸を立つ。

 

小梅村の安寧な日々の中に時に訪れる暗黒。ああ、あと少し!これは一気に読んでしまおうか。