Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#722 4月なのに師走の勢いです~「居眠り磐音 45~47」

『居眠り磐音 45~47』佐伯泰英 著

終焉近し。

 

4月に入り時間の取れない日が続いている。しかし空き時間を見つけては読書時間を楽しんでいるのだが、記録する時間が取れないのが困ったところ。

 

一先ず最近楽しんでいる時代小説が残りわずかとなってきたので読み終えてしまおうと思っている。

 

本小説は時代背景として徳川吉宗徳川家斉の頃の政治的背景が刻まれており、読めば読むほどくっきりと輪郭が浮かび上がってくるという不思議さがある。

 

42~44巻では吉宗の力がどんどんと衰え始め、体の不調を思わせる内容が増えてくる。もともと老中田沼一家を真に頼りとしていた吉宗は、なかなか国力を蓄えるような政策を打ち出すことはできなかった。城下の江戸すら不平を漏らす日々でありながらも、その声は吉宗には届いていなかったようだ。吉宗の失策は老中に権力を集中させすぎたことにあるだろう。次代を継ぐべき聡明な家基は田沼の悪政に手を施すであろうという恐れから、田沼の手により暗殺される。吉宗の体調が優れず、家基を失った徳川家は一橋家の家斉を次代にと決めた。本来田沼の傀儡になるであろうと期待されていた家斉だったが、そう簡単に事は運ばない。

 

唯一の血を分けた息子である家基は磐音を剣術の師とし、磐音は西の丸へと通うことで家基の命を陰ながら守り続けていた。このあたりからフィクションの部分が色濃くなるのだが、徳川を守る佐々木家の存在は史実とは異なるにもかかわらず「あるよね」と思わせる何かがある。

 

さて、この3巻の中ではその老中田沼の生き様が中心となる。3代にわたり重職にあたった田沼一家だが、本書では佐野なる旗本がキーパーソンとなり一気に物語を動かした。そもそも田沼一家は老中に付くほどの家柄ではない。出自を問われると自分よりもっともっと格上の者が幕府には山ほど存在し、今持ちえた権力や財力もさることながら、家柄という過去の貢献も大きくものを言う。それを書き換えようと類似の名を持つ地方の豪族であり直参旗本の佐野家の系譜を横取りしようと企んだ。佐野は短気で深く物事を追及する性格ではなかったのであろう。田沼の要求に対し簡単に家系図などを貸し出してしまう。だが貸したものがなかなか帰ってこない。執拗に田沼一家に返却を求めるも、全く相手にはされなかった。怒りを覚えた佐野はついに反撃に出る。

 

田沼は磐音にとって大きな壁であり、磐音のことを最も敵視している存在だった。その田沼の牙城が崩れつつあるという長い物語の終わりを見せるような流れに3冊あっという間に読み終えてしまう。

 

ああ、本当にあと少し。