Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#718 空に例える交渉のヒント ~「なぜあの人と話すと納得してしまうのか?」

『なぜあの人と話すと納得してしまうのか?』大森健巳 著

Audible.

 

この春、ふと「歩こう」「旅に出よう」「リラックスしよう」と考え始めた。春休みで旅行関係の広告をよく目にするようになったからかもしれないし、この間の出張でなんとなく自分の中でのコロナ禍に対する警戒心が減ったからかもしれない。これは花粉とも要相談なのだが、通勤までの道のりで歩くタイミングを増やそうと思う。あとは歩きやすい靴をいくつか揃えたい。

 

そもそもこんなことを考え出したのも「ネタ切れ」になってきたからだ。仕事で解決案を出さなくてはならない時がある。新しい技術が世に出るたびに流れがいきなり早くなったり、世代間のギャップが大きくなったりで、流行や世の中をキャッチできずにいると、たちまち「時代遅れ」となる。しかもそれを自覚する頃にはその旬の時期を逃した頃だったりするし、誰かに教わるようなことでもないので、大人になればなるほど厄介な問題となる。

 

私が考える案も「時代遅れ」なんだろう。もっと改善できる、もっと広げられるとは思えど、打つ手がわからない。ここを乗り越えるには「今」とは何かを知る必要があるのかなーとまずは漠然と外に出ることから始めることにした。家が快適すぎてついインドア派に拍車がかかり、加えてコロナで完全に家が城となったのでこれからは意識して出かけて行こうと4月のプランを練っているところ。

 

さて、本書は出張時の行きの飛行機で流し聴きしていた一冊で、すっかり書き忘れていたので残しておこうと思う。

 

Audibleのお仕事につながる書籍にはPDFで書籍内の図などを確認することができるものがある。本書はそのPDFがない代わりにAudible用の特別対談が収録されている。が、その対談が50分以上あり、冒頭にあることからなんとなく聞き始めたのだが、これがまた別の意味で学びが多かった。

 

人と交渉する以前の問題として、人と話をする時の自分の声を一度録音して、相手にとって聞きやすい速度、口癖となっている無駄な言葉、口調に問題がないかどうかを確かめる必要があると強く感じた。外国語の勉強をしている時にシャドーイングで自分の声を聞くことはあるが、無意識的に話している母国語は相手にどんな印象を与えているのだろうと心配になる。一度ミーティング時に録音して自分の話し方をチェックしたい。交渉のプロと仰る方の対談が非常に聴きにくかったことから、本書に入る前に本のレベルを過小価値してしまいそうになったのだが、本文はプロのナレーターさんが読んでおられるので安心。

 

面白かったのは「北極星」という概念だ。これは交渉の場で共に目指す目標のことを意味している。共通の目標を指し示すことで、一致団結するような雰囲気が生まれ、交渉を運びやすくするというものだ。また「巨大隕石」という言葉も面白い。こちらは共通の敵を意味する。会話の中で北極星と巨大隕石に値する事柄を盛り込むことで、自然とチームワークが生まれるようだ。なかなか折り合いがつかない事案もリスクと木曜を提示することで解決への糸口が見えやすくなるかもしれない。

 

本書では交渉のツールとして、この巨大隕石と北極星以外に6つの方法があるのだが、その例として挙げられている内容に少しだけ拒否感。例えば、無料でサービスを得ようというような交渉例がいくつかあり、無料でアップグレードを受けられた、無料で非公開展示を見ることができた、などは個人的には求めるところではない。

 

この頃Amazonに頼りっぱなしの読書ライフだが、Kindle Unlimitedで読めない書籍がAudibleの会員プラン対象となっている場合があるので、チェックする手段が増えたことは大変ありがたい。