Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#618 やっぱり柴が好きなんです~伝説の隠密 しあわせ長屋人情帖 2」

『伝説の隠密 しあわせ長屋人情帖 2』中岡潤一郎 著

長屋を支える右京。

11月に入ったせいか、「年末までに終わらせよう」と思う仕事のあれこれが頭に浮かんで来る。やりたくなくて手を付けていないアレを早速明日からやり始めようと決心した次第。考えてみると仕事というのは次から次へと降って来る。ルーティンが決まっていますという業種の方でも突発的な対応というものが時には起きているはずだ。その時に備えて少し余裕をもって仕事をしなくてはと考えるようになった。

 

家の中を片付けるようになり、少しずつ頭の中がクリアになってきている。掃除には何か力があるんだろうなと思ってはいるが、一番の驚きは「捨てる」ことにより肩の荷が下りるような感覚があることだろう。高かったのに全く着ることのなかった衣類を処分して以降、ガラクタがはっきり見えるようになってきた。年末までにもう少し片付けなくちゃ。

 

さて、昨日から1泊の予定で地方に来ている。天気も良かったのでゆったりした気分で仕事を終えた。満足気分の帰りの新幹線で本書を読む。シリーズで3巻まで出ているが、2巻までをKindle Unlimitedで読むことができる。試しに読んだ1巻目が面白かったので2巻目も読んでみることにした。

 


そもそも長屋の名前が「しあわせ長屋」というのがとても良い。今で言えば「しあわせ団地」とか「コーポしあわせ」みたいな感じだろうか。しかし、住んでいる人が幸せになるのではなく、ここにいる間に幸せになる準備をし、幸せになって出ていくということらしい。

 

だから何等かの事情のある人が多く住む。ここの差配である右京は元隠密で、幕府が秘密裡に作ったこのしあわせ長屋は代々隠密が差配を務めている。大家も隠密が勤めており、店子の生活に目を配る。

 

今回はとてもかわいい話があった。やくざ者の二人組が越してきた。二人はこのあたりを仕切る白山組に入るべく、頭のもとへ通っていた。ある日二人が出かけた時、柴の子犬になつかれてしまう。ついに長屋までついてきて、右京は「飼うならちゃんと世話をするように」と言いつける。やくざ者でも子犬はかわいい。ちびと名付け、長屋の面々にも愛されるようになった。

 

二人は組の仕事を得るべく、しっかり庶民を脅しお金を巻き上げようとするのだが、行く先々にちびがやって来て脅かすどころかやんわりムードを作り上げてしまう。どこまでも付いてくるので二人はちびを遠くへ捨てることにした。ちびの存在は二人の心にあった棘や毒気をすっかり抜き去ってしまっていた。むしろ堅気の生活へと心が動く。

 

ちびが去り、二人は荒れた生活に戻ろうとするも心が完全には悪の道を受け付けない。そこへ白山組の策に嵌り、危うく命を落としそうになる。それを助けたのが右京であり、ちびである。とにかくちびの様子がとてもかわいくて、犬好き柴好きとしては読んでるだけでメロメロになった。時代小説に柴が出てくるなんて、完璧すぎ!

 

そして今回は右京の過去に触れる新たな登場人物が現れた。美里という女で、隠密時代を共にした仲間らしい。しかし美里は右京のことを恨んでいる。死神右京として恐れられたが、美里が右京を恨むその目は死神をも凍らせる。いったい何があったのか気になるところだが、この過去にも右京の人柄を思わせる悲しいエピソードがあった。

 

3巻目も読みたくなってきたので近くチャンスがあったらチェックしたい。