Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#452 スーパースターの弟もなかなかやります ~「隠密 味見方同心2」

『隠密 味見方同心 2』風野真知雄 著

魚之進が継ぐ。

 

年末に読んだ本の2巻目。

 


1巻目はえっ!?という終わり方だった。イケメンな上に仕事のできる月浦波之進が家督を継いで同心となった。新しい役割として登場した味見方に抜擢され、あっという間に4つもの事件を解決する。嫁は町人出身だが超美人で料理もうまい。これから波之進の大活躍で悪事が裁かれるに違いない!と読み手はヒーローのような主人公にワクワクしながら読み始める。

 

ところが、その波之進が1巻目の終わりに殺されてしまう。家の前で襲撃を受け、あっという間に命を落とした。兄の襲撃をたまたま遠くから見かけた弟の魚之進は、兄から家督を継いで同心となった。

 

この魚之進も愛すべきキャラクターで、完璧すぎる兄がいても卑屈にならず、温和でマイペースな人物だ。波之進も弟を可愛がっており、研究学徒のような姿に一目置いていたようだ。やはり兄の仕事も継ぐこととなり、次男坊の呑気さで生きて来た魚之進は右も左もわからない八丁堀の仕事に従事する。一応父親から仕事の勝手について聞いては来たけどいまいちよく見えてこない。しかし兄の死を究明したいという思いもあり、魚之進は奉行所の一員となり任務をスタート。

 

波之進には麻次という岡っ引きのサポートがついていた。魚之進も麻次を頼り、今は一緒に行動している。デキる兄のかっこいい隠密っぷりに比べ、魚之進は口の利き方から啖呵のきり方まで麻次を頼りにする始末。しかし気になったことについてはじっと観察し、調べ、考えることを繰り返してきた波之進は頭脳を使っての解決に翻弄する。これがなかなか切れ者で、さりげなく活躍しつつ奉行所に馴染んでいく。

 

今回も食べ物絡みで豆腐、ちくわ、たまご、天ぷらを食べる味見方同心。魚之進のキャラクターが愛らしく、続けて読んでいきたい。