Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#609 書き込めるKindle!買っていしまいそうな予感です~「伝説の隠密 しあわせ長屋人情帖」

『伝説の隠密 しあわせ長屋人情帖』中岡潤一郎 著

差配無双。

 

しまった。Kindle Unlimitedの整理をしなくては次の本をダウンロードできないぞ!とAmazonのページに入り、あれこれ見ていてこちらを発見。

 

 

世のニュースに遅れてる感は否めないが、来月から発売とのこと。ものすごく気になっています。メモを書けるということより、画面がでかい!これがものすごく気になる。iPadKindleは読めるものの、なんだろう、目がものすごく疲れる。Kindle Scribeはなんとなく目に優しそうなので、これなら書籍の合間に出てくる図とかのちっさい字も見やすくなる気がして期待感が高まる。なんてことを考えていたら思わず予約購入のボタンを押しそうになっていて、かろうじて思いとどまる。

 

Kindle Unlimtedの整理どころかネットであれこれ情報探してしまい、結局手っ取り早くライブラリーの上の方にあった作品を読んで心を落ち着けた。

 

さて、Kindle Unlimitedにも時代小説があるんだ!という理由でダウンロードしたのだが、時代劇のようで楽しく読めた。

 

長屋には差配という管理人がいる。長屋自体の持ち主が行うことは稀だったのか、大抵は雇われた者が家賃を管理したり、その他もろもろの日々の雑務を行う。ここ、しあわせ長屋は建物も古く貧しいものばかりが集っている。子供から年寄りまで、日々の暮らしに追われつつ、懸命に生きていた。

 

しあわせ長屋の差配は一風変わった男だ。差配だけではない、この長屋自体がいわくつきであった。長屋は深川のはずれにあり、決して土地にも恵まれていない。しかしここはかつての将軍の肝入りで作られた施設という一部の者のみが知る場所だ。貧しいものへの恩恵として建てられたが、将軍が町民の生活に踏み込むということは考えられないことであり、ひた隠しにされている。そしてその差配もまた、幕府の背景を持つ者が代々請け負っており、今の差配の右京は元隠密として活躍していた強者だ。

 

長屋の店子も何等かの裏のあるものが多い。ある程度の事情を把握した上で受け入れているとはいえ、差配の耳にまで詳細が届いていない場合もある。日々、何等かの事件の起こるしあわせ長屋の日々を綴った物語だ。

 

右京の隠密生活は日本や樺太を歩き、現地の調査にあたる他に族を倒すという目的があった。太刀回りが得意ではなかった右京は、生きていく術として自らの腕を磨く。それは刀ではなく、指で鉄の玉をはじき、鉄砲のように相手を攻撃する方法。もう一つが糸を操るというものだった。ほら、仕事人風でしょう?

 

しかも、隠密時代の二つ名は「死神右京」だった。闘った相手は必ず倒され、右京の強さがこの名を与えたようだ。しかし体が思うように動かなくなったと半ば強引に引退したのだが、隠密を束ねる親分より簡単に隠居は許されずに長屋の差配を命じられる。

 

右京にとっては生死の狭間で常に緊張感の伴う生活よりは、差配の生活のほうがゆるりと気楽だ。しかし、時に店子への族の襲撃があり昔の日々が蘇る。決して店子を追い出すことはせず、必ず守ることが右京の矜持だ。その思いが長屋全体に伝わり、みな右京を信頼し、必要とし、心を預けている。

 

現在2巻までKindle Unlimitedで読むことが出来るのだが、先に述べたように仕事人に通じるような時代劇要素と人情たっぷりの長屋ものの組み合わせが気分転換にぴったりでつい2巻もダウンロードしてしまった。