Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#585 歴代”最も片付けがしたくなる本”1位!~「ガラクタ捨てれば自分が見える」

『ガラクタ捨てれば自分が見える』カレン・キングストン 著

元祖片付け本。

 

9月半ばに入った途端、やたらと海外から人が来る。日本がコロナ禍による水際対策を緩和するというニュースがちらほら出始めたせい?お盆あたりの一時は日本の感染者数が世界でも最も多かったのだが、今は都内もぐっと陽性者の数が減少していることも来日増加の理由だろう。

 

ということで、空港までお迎えに上がり、出てくるのを何時間も待ち、3連休もアテンドで働かざるを得ない。羽田の第3ターミナルにはそんな私のような人たちが列をなしてお客様の到着を待っていた。幸い読書する時間には恵まれるが記録を残す暇がない。

 

観光産業が再び活発化し、海外マネーが日本に落ちていくことはありがたいとは思う。が、週末や公休日が潰れると思うとため息が出てしまう。コロナ禍前は「社畜なんてそんなものよねー」と慣れのおかげか不満も流せていたが、今は自分の時間が何より大切だと考えるようになったため、つい顔に「勘弁して欲しい」な表情が出てしまう。

 

本当はこのシルバーウィークを利用して家の中を片付けるつもりだった。部屋の片隅にあった積読の山は少し前に撤去され、どうにか本棚の中に納まった。が、その本棚もぎゅうぎゅう詰めで、未読本はいち早く読んで処分か保管かの判断を下すべきだ。洋服もどうにかしたいし、とにかく目に見える部分を少しでも片付けたい。

 

定期的に「片付け」が出来ない時のモチベーションアップのため、本書を手に取っている。最近は便利なので「断捨離」という言葉を使ってしまうが、身の回りの「物」を整理し必要なものだけで暮らす生活にしたい。「ミニマリスト」なんていう言葉も近いのだとは思うけれど、とにかく捨てる。とにかく物を持たない。ここまで来てしまうと、私が最初にイメージした「片付け」とは全く別物になってくる。

 

本書を最初に読んだのは今からもう15年くらい前のことだ。海外暮しでなんとなーく気持ちがぼんやりしていた頃だった。日本から友人が来ては「最近読んだ面白い本」について教えてもらうのだが、友人の一人が「この本すごいよ」と教えてくれたのが本書で、なぜかものすごく惹かれたのがきっかけだ。いつもは送料がもったいないので吟味に吟味を重ねて本を購入していたのだが、本書に限っては速攻で購入したことを覚えている。本の到着が待ちきれなくて、街の書店で原書も購入。読み始めてすぐに引き込まれ、片付けがしたくてうずうずが止まらないなんて初めてだった。日本語版が届いた時にはすでに「ガラクタ」の山が出来ていた。

 

著者はバリで風水を学んだ方で、空間をクリアにすることで運気をアップするという方法を唱えている。風水と聞くと日本でよく言われる「〇〇の方角に✖✖を置く」というような開運方法を連想するが、本書の場合は大雑把に言えば「空間を整えよ」という主張になるのだろう。

 

空間を整えるというのは、その空間に余計なものを置かず、良い気のみが満ちた状態を保つということだ。これもまたまた大雑把な説明なのだが、良い気を満たすには「気」が存在すべきスペースが必要となる。そこに妨げになるものがあれば、空間に余裕を作り出すことはできない。だから不要なもの、つまり「ガラクタ」を取り除こう!というわけだ。

 

例え西の方角に黄色のものを置いても、そこが数か月分の処分すべき新聞の山が置かれているとしたら?本書は繁栄を司る場所から繁栄を妨げている原因であるガラクタ=新聞の山をまずは処分、黄色は置いても置かなくてもいいけど、自分が本当に好きなものじゃないならそれもガラクタ、という主張。黄色のものなんて頭に浮かぶのはバナナくらいだけれど、確かにそんな置物は例え金運アップとは言え、私の部屋には不釣り合いだし置きたくないなあ。

 

本書には面白い例がたくさん出てくる。何かに固執していると、ガラクタの存在に気が付きにくいらしく、アヒルやカエルのグッズを集めすぎて、本人が気が付かないうちにインテリアがすべてその執着に占領されているというものだ。数えてみるとカエルが100匹以上いた!なんていう本人以外には笑い話そのものなエピソードがいくつも紹介されており、「ガラクタとは」の概念を把握しやすい。

 

この「ガラクタを捨てる」ことで心の中もクリアになり、多くのことが改善されるらしい。そういえば今や世界的なブームとなったコンマリさんの片付け本だが、私は本書を読んだ後での読書だったのでむしろ二番煎じな感を得た。コンマリさんは私にとっては収納の達人のイメージが強い。

 

さて、このガラクタがどう影響してくるのか。これがまたモチベをどんどん上げてくる。家にはそれぞれの運気を司る位置があるという。著者は居住空間や一軒家であれば土地全体を9つの区画に割り、必ず玄関が下となるようにしてそれぞれのスポットの意味を知ることを進めている。これがものすごく掃除をはかどらせるので是非一度試して欲しい。

 

私の積読は「繁栄」の場所に山積みとなっており、本の他にも紙類が大量に捨て置かれていた。それを片付けた後の爽快感たるや、肩の荷がいくつも落ちたような感覚である。まだ完全に片付いたわけではないので「繁栄」は訪れてはいないけれど、一先ず有休取れることになったので良し!というところだろうか。

 

断捨離やミニマリストの印象としては、「物を持たない」がメインの理由になっているようだが、本書は愛着があるものであれば問題ないと言っている。ただ、それには限度があり、古い雑誌を集めているとか、頂きもののキレイな空き缶を捨てられないというのは検討の必要があるだろう。「後で使うから」という人は多いが、その「後で」は絶対に来ないと著者は言う。愛着で集めたはずのものが、急にガラクタに見える不思議。私は本の他、家電等の取説を大量に処分した。ネットで検索できるし、よくよく見るともうすでに手元に本体がないものの取説があったり。それらを捨てるとものすごくスッキリして、他にもいろいろな物を片付けたくなる。

 

ああ、うずうずする。早く片付けしたいなあ。ガラクタがないと頭の中の問題ごとまですっと消えていく感じがするのが不思議でならない。仕事で悩んでいたこと、面倒くさくてずっと保留にしていた案件なども、片付けてしまいたくなるから効果については実体験をもって保証したい。思えば初めてガラクタを片付けた時、スーツケース2つで渡航したはずなのに、たった数年でものすごい量の「物」に囲まれていた。今はゴミを捨てるにもお金がかかるので、普段から物と自分の心との相性を考えて暮らしたい。