Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#548 ストーリーが力強い!~「闇の狩人(上)」

『闇の狩人(上)』池波正太郎 著

謎の剣客と大泥棒。

 

今週よりまたまた別の所に出張に出ている。空港に到着した時から圧倒されるような風景を楽しんでいたのだが、今朝は結構本降りで「しまった,,,」と靴の心配をしているところ。今いる所は夜半から雨となった。出張日数が増えるにつれ荷物がどんどん増えてくる。いつも靴を2足準備していたのだが、今回は「靴はいいや」とあきらめた途端ににこの雨だ。いつもは降らずに帰る頃になると「次回は1足で」と重い荷物に後悔していたのに、やっぱり準備って必要なのかーと外の雨を見ながら考えているところ。

 

今回の移動は飛行機だったので、待っている間、機内で本書を読んだ。こちらもKindle Unlimitedの作品で上下2巻となっている。

 

主人公は雲津の弥平次という50になったばかりの男だ。実は大きな盗賊に属しており、そこで小頭という役割を務めている。先日盗賊の親分が他界し、現在はその跡目についてもめているところだ。弥平次を推す者も多いが、自分こそトップにつくと息巻く二人の弟分がいる。弥平次は先の盗みで足を怪我し、そろそろゆっくり過ごしたいと考えるようになり、跡目を継ぐ気持ちはない。

 

足の怪我には湯治と知り合いの坊主の湯へ出向いた弥平次はそこでしばらく滞在し、傷を癒す日々を送っていた。坊主の湯も元盗賊が営んでおり、いわくつきの弥平次も安心して体を預けることができる。山奥にあり、ひっそりとした坊主の宿。弥平次が山を歩いている時、なんと怪我を負い倒れている侍を見つけた。放っておけず思わず宿へ連れ戻すのだが、侍には追っ手が迫っているようで声が聞こえてくる。

 

弥平次の手当の甲斐あり侍は意識を取り戻すが、すべての記憶を忘れていた。自分の名前、出身、どこから来たのか、なぜ追われていたのか、すべてすっかりわからなくなっていた。このままでは傷も治らない上により山奥にある宿へ移動することで身を隠そうと思った弥平次は、宿のおやじとともに夜から移動をはじめる。

 

侍は意識を取り戻したばかりで、自分で歩くことすらままならない。とりあえず山小屋に落ち着いた弥平次と侍だが、こんなところまで追ってがやってきた。侍を案じる弥平次だが、その侍は気づくと姿を消しており一先ず弥平次は坊主の湯へ戻る。

 

この侍、自分の名前を忘れていたところから、弥平次に名前を付けてもらった。二人は互いを想い合う心を持ち合わせるものの、山奥で離ればなれになってから数年の間、一時も忘れることがなかった。それから二人の背景が深く深く闇に沈む中、江戸で二人の世界が近寄っていく。

 

とにかく読み応えあるストーリーで、興奮しつつ上巻を読み終えた。下巻は帰りの便で読むつもりだが、どのような終わりになるのかが気になり、もうそわそわしているところ。早く下巻を読みたい!