Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#256 明治が舞台のお話を読んでいます

『若様組まいる』畠中恵 著

時が時なら若様だった元侍たちがどうやって巡査になったのか。 

若様組まいる (講談社文庫)

若様組まいる (講談社文庫)

 

 

しゃばけ」シリーズの著者の書いた明治時代を背景とした物語。こちらはその2巻目になる。

 


明治という時代はなんとも目まぐるしく新しい物が西洋から押し寄せたタイミングだったわけだが、この物語の中で出てくる「新しいもの」は、登場人物の一人である真次郎の作る西洋菓子のような気がしてくる。

 

そもそも小麦粉を上手に精製することだってこの頃からのことではないだろうか。オーブンだって西洋文化とともにやってきたわけで、火鉢でホットケーキくらいは焼けたかもしれないけれど、「お菓子」は美味しさだけではなく作り方の面でも革命的なものだったのだろうなと思う。

 

さて、2巻目は元は旗本家という育ちのよい若様たちがどうやって巡査になっていったのかというお話。巡査になった理由から巡査になるための道を説明している。試験の後には2か月あまりの研修を受けなくてはならないのだが、その中でいろいろなストーリがお目見えする。

 

若様たちの勉学の話がメインなので、真次郎のお菓子はあまり登場しない。差し入れでちょこっと出てくるくらいなので2巻目は料理目的で読んでいる私などにはちょっと物足りない感じがあった。

 

ちょうど3月は卒業シーズンでもあったことから街中で袴姿の卒業生を目にすることがあった。女学生の袴というのは明治からスタートしていたことなんだろうかと思うと感慨深い。

 

明治のストーリーは西洋文明がどっと押し寄せてくる姿を書いている作品が多く、「こうして今ができて来たんだな」と思わせるものが多い。この作品は警察組織のスタートのようなものが書かれている。とはいえ、江戸時代にも同心など悪を正す組織はあったわけだから全く馴染みのないものではない。恐らく縦割り横並びのスタイルを西洋から学び、国全体に反映すべき流れの第一歩と言ったところだろうか。

 

あともう一冊あるようなので続けて読んでみる予定。