Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#537 評数多めの作品を読んでみました~「江戸っ子出世侍 お目見得」

『江戸っ子出世侍 お目見得』早瀬詠一郎 著

旗本の四男坊、出世なるか。

 

GWの余韻のせいか今週はものすごく長かった。とは言え、GW後の1週間はほぼ出張に出ていたため、長く感じたのは出勤した今日一日だけのような気がしないでもない。

 

さて、2か月限定、Kindle Unlimitedの本を読みまくろう!と決めてからというもの、ことあるごとに書籍を探している。本書はおススメのなかに上がって来たうちの1冊で、ものすごく評の数が多かったことから読んでみることにした。

 

主人公は貧乏旗本の四男坊、峰近香四郎。長兄以外の二人の兄はすでにそれぞれ道をみつけて家を出ており、長兄に世話になりながらのらりくらりと暮らしていた。両親もすでに他界し、長兄に頼りっきりの生活を送っているものの、その兄も体が弱く、旗本身分とは言え、お役目はない。五百石で細々と暮らしている。

 

そんなお家柄の香四郎の人生がある日を境に一転した。親戚筋とは言っても遠縁で行き来の無かった吉井家は、御家人の身分だが後継ぎも無く老人二人で暮らしていた。二人が相次いで他界し、後継ぎとして香四郎が推挙されたと言う。旗本とはいえ、四男坊では一生ぶらぶらするも同然、ならばと養子にと受け入れることなった。

 

早速葬儀を取り仕切り、吉井家の当主となった香四郎。そもそも峰近家も貧乏、吉井家も旗本よりも身分も落ちるわけで、家を継いで最初にしたことは借金の対応だった。そこへある商人が現れ、「実は吉井家の御家人株を買う手筈が整っており、譲り渡してもらう。」と言う。さらに驚くことには香四郎にはぜ御家人としてそのまま残ってもらい、本人は後見人として支えると言う。香四郎にはどんどん出世すべく、世の中を学んで欲しいと何だか怪しい話を持ち掛けて来た。「なんだこれは」と思いつつも、香四郎はその案にのっかり、まずはと指示通りに吉原へ出向く。

 

まだ22歳の香四郎、美人には目が無く商人に言われた通りに吉原を満喫した。下戸なため、酒より和菓子というのも面白がられる。不思議なことに、これをきっかけに本当に香四郎の運がどんどん開けたかのような展開になっていく。あれよあれよという間にとんでもない方向にひっぱられて行くのだが、当の本人はあまりよくわかっていないようだ。

 

現在の小説でもドラマになるような経済小説があるが、その江戸版みたいな面白さがあった。そして若者らしさがたっぷりで、おじさま読者ならきっとうなずける部分も多そうだ。

 

本シリーズは現在6巻まで出ているのだが、4巻までをKindle Unlimitedで読むことができるようだ。1巻目ではまだ香四郎を取り巻く背景が見えないので、もう少し読んでみよう。