Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#505 金太と銀太の友情~「本所おけら長屋18」

『本所おけら長屋 18』畠山健二 著

今回もとにかく面白い!

 

ああ、やっとこの時期が来ましたね。この頃続編が出ることを楽しみに待っている作品がいくつかあるが、本シリーズもそのうちの一つだ。いつでもどこでもそばに置いておきたいくらいに好きなシリーズ。16巻くらいからはKindle版を購入しているのだが、これはもう1巻からちゃんとKindle版にしていつでも読めるようにしておかなくては!と意気込んでいる。とにかく本書ほどに気分転換に持ってこいの小説はなく、移動時間の多い出張の時など絶対に絶対に絶対に!滋養強壮にもリフレッシュにもぴったりだ。

 

書店の前を通りかかった際に新刊が出ていることを知る。今回もKindle版を購入し、あっという間に読み終えたのだが、何とも言えない爽快感が今も続いている。

 

18巻目は4つのストーリーが収録されており、やっぱり主人公はおけら長屋の住人だ。彼らにかかれば小さな話も大きくなり、日常茶飯事が事件となる。とはいえ、ちゃんと話に必ずオチがあり毎度大笑いしながら事件は終盤を迎えている。

 

今回、鉄斎のいた黒石藩の殿、高宗の周囲の話が面白かった。高宗の正妻は今や17歳となったのだがまだ跡継ぎの話はない。というより、寝屋も別々で側室を持つべきでは?お子がなくては我が藩はお取りつぶしになるやもしれぬ!と周囲は大騒ぎしている。そんなある日、正妻の付き人が町で殿を見かけた。いや、殿っぽい人?いやいや、後ろにいるのは殿のお付の真之介だしやっぱり殿?でもなんであんな格好?と、頭の中がもやもやっとしていた。それを正妻に伝えたものだから「ああ、殿には外女が」と悩みを深くする。

 

じつは高宗は外に女どころか、せっせとおけら長屋の住人に会うべく三祐に通っているだけのこと。万松のことがすっかり気に入り、むしろ女の噂のほうがまだましでは?な入れ込みようである。

 

さて、殿がおけら長屋なんかに、しかもおけら長屋に行きたいがためにお忍びで出かけているなど家臣に知られてはならない。真之介は殿がこっそり出かけるたびに上からお小言を食らっており、行き先がおけら長屋というのがより怒られる理由になっているようだ。

 

今回も騒ぐだけ騒ぎ、ちゃんと殿様のお家騒動にけりを付けている。その過程があまりに面白くてますます江戸が好きになる。

 

そして唐茄子売りの金太の話は感動的だった。いいお話。金太、相変わらずよくわからないことを言っているのだが、とても心根の優しい男だ。おけら長屋の面々も金太のことをからかいつつも、必ずちゃんと面倒を見ている。その金太に友達ができた。むしろ金太より賢いと評判の友、それは白い犬だった。出会いから別れまで、金太の優しさにじんとくる。

 

とにかく今回もあまりに面白すぎてあっという間に読み終えてしまった。本シリーズは半年くらいの周期で次巻を出して下さるので嬉しい限り。ああ、今回も本当に大満足。