Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#501 古事記のメジャーどころが数々登場~「神様の御用人 5」

神様の御用人 5』浅葉なつ 著

有名どころの神様がたくさん。

 

やっぱり雨が降るとどうも頭が痛い。これも低気圧のせいだろうか。

 

この頃民俗学がテーマの本を続けて読み、そういえば!と本書の存在を久々に思い出す。

 

 

4か月ほど放置していたとは!すでに出ているもののほとんどを購入済みなので忘れないうちに読んでしまおう。

 

本書は「宣之言書」に現れた神様を訪れ、自身の力で問題を解決できない神様を人が助けるというストーリーだ。その御用を受けるものを「御用人」と言う。良彦は他界した祖父がもともと御用人を請け負っていたことから、なぜか突然選ばれてしまう。しかし本採用ではなく、本命がキャンセルとなったことから仕方なくの登用で、まずは代理として役目についたが4巻目でめでたく昇格。今は代理ではなく本物の御用人となった。

 

今回は肩書が変わったからか登場する神様に有名どころが多かった。邇邇芸命(ににぎのみこと)、倭建命(やまとたけるのみこと)、大地主神(おおとこぬしのかみ)、最後は恵比寿さまと超メジャーどころが勢ぞろいだ。

 

このお話はファンタジーなので神様のお姿やお話は面白可笑しいものになっているし、後世に残されているエピソードから推測する悩み事だったりするのだけれど、読んでいるうちにじんわりと親しみが湧いてくる。不敬だ!と言う方ももしかしたらいるのかもしれないけれど、本書に限っては全てがほんわりと神様にも幸せが訪れるエンディングなので、よりほっこりとした気分になる。

 

それにしても古事記をじっくり読んだことがないので、え?と思うようなエピソードがあることを知らずにいた。特に邇邇芸命の話は現代だったら「それはないわ!」と突っ込まれること確実だ。でもそれこそが人間らしさというか、神様が身近であり、自然と共にあることを感じさせる一面であるのかもしれない。

 

今の私たちには神話として感じられる要素が強すぎるが、夜には街灯もなく闇に包まれていたような時代には、日常にもっと神々を感じられる瞬間があり、古事記にしても受け入れられる要素があったことだろう。

 

本書は力が衰えどうにも自力で事を為せない神様からの依頼が多い。神様の力が衰えるのは、人間の信仰が衰えるからだ。信仰が薄れれば、日本の神様たちはどこに行ってしまうのだろう。この頃、山や野を切り開き景観を損なうような産業が跋扈しているが、麗しい山間の景色一面がはげ山になっていたりで悲しくなる。本書を読みながら、なんとなくそんなことを考えてしまった。