『ひとりを愉しむ食事』有元葉子 著
ああ、なんと美しい写真。この表紙、生け花じゃないですよ。サラダです!!
こちらも年末にいくつかまとめて購入したうちの一冊。買って良かった!と思える一冊だった。
著者の書籍は年々写真の美しさが際立っていて、本書も装丁がまるで写真集のようだ。表紙もしっかりとしていて、こんなに紙に厚みのあるレシピ本なんてめったにないと思う。内部の写真もアート風でただパラパラページを送っているだけでも楽しくなる。
いや、でもこれはレシピ本と言っていいのだろうか。分量がざっくりと記されており、手順の詳細は説明されていない。料理の説明はすべて文章なので、じっくり読むタイプの一冊だ。お料理教室風なレシピ本ではなく、料理好きな友達に「これどうやって作るの?作り方教えて!」と教えてもらっているような感じかな。
著者の年齢は存じ上げないが、お孫さんもいらっしゃるそうなので恐らく還暦くらいかな?と想像するが、今や60代はまだまだ若くてリタイア後の自由な生活を満喫している人が多い。とはいえ、心は若くも体の衰えを実感することもあるのではないだろうか。この頃の著者の本にはシンプルかつ健康的なレシピが基本で、そこに自分が食べたいと思えるものをアレンジしていくような風潮があるように思う。
著者は日々お仕事柄、子供から高齢者まで各世代に対応できる料理を作り、教えていることだろう。けれど仕事が終わり自宅で自分のために準備する食事はさっと手軽で胃に優しく体に適量と思えるものを食しているのではないだろうか。ただそこはプロだから、決して私の様に無骨ではないだろう。同じお茶漬けでも素敵な器、美しいテーブルコーディネイト、見た目に美味しいお茶漬けが登場するに違いない。だからこそ、こんなアート的な一冊が出来たはずだ。
出てくるお料理は本当に本当に普通のものもあって、ファンとしては親近感が湧く。そして玄米ごはんに白ご飯、汁物、惣菜、どれも今までに出て来た本にも紹介されていたものが多いが、それぞれのエピソードがまた深い。
著者はイタリアにも家があり、イタリア料理もお好きなようだ。その中でよくピザのお話がでてくる。
こんなピザ台、いいですね。私はゴム?ビニール?のパン用のシートを使って作ることが多いけれど、大き目のまな板は一枚欲しい所。
で、ピザです。著者はちょっと変わったピザを作る話をいろいろな書籍で紹介している。本場イタリアでいくつも美味しいピザに巡り合っておられるだろうし、チーズについても熟知しておられるはず。生ハムとかオリーブとか、新鮮な物で作ればいくらでも食べられるだろう。
ところが、そんな定番中の定番を思わせるピザではなく、著者のピザはどちらかというとデザートのような感がある。本書ではホワイトチョコや桃をつかったフルーツのピザの話が出てくる。
なんだろう。フルーツサンドみたいな感じなんだろうか。著者もこんなピザは外では食べられないからとご自宅で手作りしておられるようだ。
パスタもピザもイタリアではもっと多彩な食べられ方をしているのかもしれない。子供用だったり、ラクトアレルギーの人のためだったり、ピザ生地が余ってしまったためだったり、いろいろな理由でのご家庭アレンジ版があるのかも。
私が還暦になる頃、こんなオシャレな生活をしていたいな、という思いが強くなった。美味しいものをしっかり食べ、栄養を取り、美しく過ごしたい。ライフスタイルという面でも著者は憧れの存在です。