『はなの味ごよみ 10』高田在子 著
シリーズ最終巻。
去年の年末は「2021年になればコロナも落ち着いてるでしょ」くらいの気持ちでいたのに、実際こうして2021年の幕を閉じる今振り返ると、年末になってオミクロン株が発生。なかなか終焉とはいかないけれど、今年はワクチンが作られたおかげでずいぶんと蔓延を食い止めらたように思うし、それは大きな進歩だったように思う。あとはなんといっても東京オリンピック!そう、あれは今年の出来事。2021年、本当に皆さまお疲れ様でございました。
さて、今年を締めくくるにあたり、年末から読み始めた本シリーズの最終巻を読む。
9巻では良太のもとへ嫁ぐため、はなが駒場の武家に赴き養子になるべく修行する。もともと鎌倉の百姓の出であるはなにとっては喜楽屋での町人生活も慣れないものがあった。そこへ今度は武士の生活なわけだから、世界観も価値観も異なるなかで大変な苦労だったと思う。今でいえば庶民が貴族に嫁ぐようなもの。よくわからない上に想像すらつかない「日常」にはなは困惑する。
さて、私の中で本シリーズの主人公はいつのまにかはなから弥一郎になっている。10巻の最終章ではその弥一郎の素敵さがあまり目立たない。それどころかあんなにも強かったはなへの思い、絶対に自分のもとへはなを連れて来るという熱さが、あれ?というくらいに萎んでいて個人的にはちょっぴりがっかり。弥一郎、君はDarcyではなかったのか!!!
でもやっぱりそんな弥一郎ファンは多かったのだろう。巻末に弥一郎の話がストーリーとは別に収められている。これ、きっと弥一郎シリーズはじまるよね?と思わせるに十分な前振りなのだけれど、いやいやいやいや、弥一郎の嫁取りの話とかだったら逆に弥一郎のイメージを壊してしまいそう。
欲を言えば10巻は急いでまとめた感が否めない。ストーリーの終わり方にも疑問が残る上に、説明が足りないから辻褄が合わないような気がしてしまった。小説とはいえ、その設定には無理あるよね?と他の時代小説にはないシチュエーションに首をひねる。とは言え、ひとまず読み終えて感無量。
来年もたくさんの本を読んでいきたい。料理の本、語学の本、時代小説、ライフスタイルの本などは来年ももちろん読んでいくつもりだが、2022年は少し仕事のための本も読んでいきたい。
2021年、楽しい読書をありがとうございました。
来年もステキな本との出会いに恵まれますように。