Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#431 武家言葉に武家の暮らし~「はなの味ごよみ9」

『はなの味ごよみ 9』高田在子 著

はな、武家修行。

さて、あともう少しで最新刊が出る本書。なんと次でお話が終わるというのに9巻目は全く顛末を予測できない流れとなっている。

 

 

弥一郎のはなへの気持ちが明るみになってからと言うもの、武士がみんな弥一郎風とは思えないにしてもストレートな告白ではなく、「だから、おまえは、おれにしろ」的な一見自信過剰な思いの吐き出し方に逆に「おおおおおおおおおおおおおおお!」と「高慢と偏見」のDarcy登場的な感動を受け、すっかりはまってしまっている。

 

とはいえ、そんな大胆な言葉にぐらっとくるはなではない。はなは良太を追って鎌倉から江戸へ出て来たわけで、良太を探すという目的を達成した今は、良太とまた夫婦として暮らすための江戸生活を送っている。弥一郎の横やりなんて相手にするはずがないと思いきや、むしろ揺らぎのない言葉がいつしか予言のようにはなには聞こえているのかも。弥一郎、侮れん。

 

今のところ予定通りに良太優勢で、ついにはなの養子先を見つけ出した。9巻ではなはついに愛する喜楽屋を離れることになる。ところで、良太の父親はすでに何度か登場しており、良太が逆らうことが出来ない程の強者というのはわかっている。武士の鋭さそのままのキャラで、なんとも有能な人っぽい。一方で母親という人が謎のまま。はなは一度面識があるけれど、声を聞いていない。夫の後ろに静かに立っているような人。良太の両親は親が決めた相手と結ばれた。次男だった良太の父は、父、兄が立て続けに亡くなり、母も病に倒れるなど一度の多くの変化が起き、突然結城家の当主となった。当時病床に臥す母親の面倒を見てくれたのが親の上司だった人の娘で、そのまま結婚することになったわけだけれど、心には別に思う人があった。読み進むにつれて、良太の母親のキャラが気になる。

 

さて、9巻はまるまるはなの武家修行の内容だ。1冊読み終わるまであっという間で安心したり、はらはらしたり。合間に神田の面々も気になるし、具合の悪いおせいの様子なんかも気になるのだけれど、はなの修行中には一切その他の「雑音」が入ってこない。そもそも良太の噂すら滅多に聞こえてこない。

 

さて、弥一郎のいる小石川薬園は今の東大小石川植物園のことだろうと思う。小説のことなので完全にフィクションではあるけれど、ここにいたのか!と思うだけでちょっと心が浮き立ってくる。時代小説を通して江戸に興味を持つようになり、もしもっと早い時期、できれば10代の進路を決める前あたりで出会っていたら、きっと国文学とか歴史学とかを専攻にして学究徒になってただろうに!とちょっぴり思ってみたりも。

 

 

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小石川植物園

 

ああ、今後はなはどうなるんだろう。本当に10巻で終わってしまうのだろうか。シーズン2が始まってくれるようなことはないんだろうかと発売日までこのやきもきが続きそう。早く10巻が読みたい!