『すみれ飴 居酒屋ぜんや 2-1』坂井希久子 著
居酒屋ぜんや、後半戦スタート。
閑話休題。続けて読んでいる『はなの味ごよみ (角川文庫)』にすっかりはまってしまったのはいいのだけれど、もうすぐ手元にある分すべて読み終えてしそうで、もっともっと読んでいたい気持ちを引き延ばすために間に別の作品を読んでみることにした。
本書はやっぱり続きがあった、居酒屋ぜんやシリーズ!思ったような形でシーズン2がスタートした。
ぜんやを取り巻く状況はシーズン2に入っていきなり数年が過ぎており、只次郎とおたえは夫婦となり、小熊と呼ばれていた熊吉も今や手代にまでなっているから5年くらいぽーんと飛んだことになるはずだ。しかも只次郎は旗本という身分を捨てて町人になっていた。なんというか、今までの武士の概念を覆すようなキャラがおもしろい。
たまたま書店に入り、新しい時代小説がないかと物色していたところへよく似た感じの表紙のイラストだなーと手にとると続編になっていたので早速購入。今までタイトルは料理の名前がついていたけれど、今回は飴。どういうことかな?という疑問が高まる。
すっかり忘れていたのだが、只次郎は前に長屋で小さな娘を一人助けていた。お花という子で、母親は蒸発している。その子が今もぜんやに居て、すでに二人の娘として育てられている。江戸時代は火事も多く、親から離れてしまった子供たちが多かったはず。お花の場合は母親の堕落によるもので、二人のもとに娘として住んでいながらもまだ距離感がある。
ところで、本書の帯に来年の春に2巻目が出るとの宣伝があり、これからは只次郎とおたえはメインキャラクターではなく、次世代のお花と熊吉たちが入れ替わりで脚光を浴びるようだ。おはなはまだ反抗期的な時期なのか、産みの親へのこだわりが捨てられない。おたえのような優しい女ではなかった実の母は、お花を折檻していたし、成長するにつれて体の傷は消えども心の傷は膿むばかり。
今回はこの主人公が交代しますよーというお知らせの号なので、あまり料理の話にはなっていない。これからお花がぜんやの台所に入り、盛り立てていくところに楽しみが続くと信じたい。ひとまず、様子見と言う感じかな。