Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#427 武士の恋がせつない件 ~「はなの味ごよみ 7」

『はなの味ごよみ 7』高田在子 著

良太、思い切る。

 

もう続きが気になってしょうがない本シリーズ。6巻で弥一郎が「高慢と偏見」のDarcyに見えてからというもの、弥一郎の登場が楽しみで楽しみでたまらない。どんな終わりになるのかなーと想像しながら読んではいるのだけれど、12月21日に出る予定の10巻の説明のところに、

 

人気シリーズ感動の完結巻。はなと良太の恋の行方は──。

 

え、完結巻?あと数巻でDarcyの愛はElizabeth(はなのこと)に届くのか!と心配でならない。良太か、弥一郎か。初恋?の相手を取るか、共にそばに居てくれる人を選ぶか、まあどちらにしても、はなにはどちらと共に生きていきたいかを突き詰め、心から愛する人を選んで欲しい。もしかするとはななら「おせいさんと一緒に!」という可能性もあるわけで、とりあえず9巻まで一気読みするつもり。

 

 

さて、7巻目では急に良太がアグレッシブになり、今まではこっそり変装してはなだけが良太を探せるような姿で喜楽屋に現れては、「もう少し待ってくれ」と煮え切らない態度だったのに、ここにきて堂々としてきた。今やひっそりと見守る良太ではない!

 

弥一郎は酔った勢いもあっての大告白。しかもかなり上から目線でそこはDarcyとは違うけれど、まあいろんな意味でのビックリとやっぱり!を含めた展開になったわけだが、良太はずっと親を理由にずるずる行くかと思いきや、いきなり男らしくなったのはやっぱりお目付け役だったはずの弥一郎が良太の目にも「男」に見え始め、それがライバルと発展したからだろう。

 

弥一郎は今回も人や町のためとなって働くのだけれど、憎まれ口と冷酷な態度でいい人ぶらない。夫に虐待を受ける女性が「鎌倉にある縁切り寺に行きたい」とはなの噂を聞いて喜楽屋までやってきた。鎌倉出身のはななら道を教えてくれるかもしれないという期待を持ってのことだったが、暴力夫が先に察知して喜楽屋に乗り込んでくる。タイミングよく登場した弥一郎がその場を収め、丸仙の力を借りてその女性を匿い、なんと鎌倉まで送っていった。神田ー鎌倉を2泊3日で野宿までして出かけてきたのに、ぜんぜん偉ぶらない。そこがまたいいんですよねえ。とはいえ、良太と弥一郎が互いにはなを思うことを知り、ちょっと迷走気味。これが「恋は盲目」というやつなのだろうか?

 

良太はどうにかして父親を説得しようと迷走中。かなり斜め上な戦法で父の弱点を突こうとする。が、やっぱり採薬師という特殊な武士の一家ということもあり、なかなか話が通らない。はなは百姓の出であること、今は町人として喜楽屋で働く身分というだけではなく、結城家なりの判断で嫁を迎えるにあたり、今は役不足なようだ。

 

弥一郎は弥一郎でなんだかストーカーっぽいというか、何とも言えない高圧的で自信家なコメントを連発。はなの立場ならどちらも微妙~な印象なのでは?と思うけれども、煮え切れなかった態度が一変して積極的になった良太が一歩リードというところだろうか。

 

6巻目で弥一郎が「Pride and prejudice」のDarcyのよう!と一人で興奮していたけれど、7巻目でちょっと方向性がひねくれすぎているような感が出て来た。江戸という設定に加えて武士言葉というスパイスがあってのことなので「男らしさ」としてとらえることができるけれど、これを今の時代に置き換えるとちょっと我が強すぎる。でももうすでに弥一郎贔屓が止まらないので、結末までハラハラするんだろうなあ。

 

7巻目のテーマは「武士の生き方」が適当かな?と思う。武士とは言ってもピンキリで、お役目の重さや軽さの違いもあれば身分の縛りも大きい。良太や弥一郎の家は採薬師という仕事を持ちながら隠密の仕事もこなす。そういう仕事が本当にあったのかどうかはわからないが、彼らの生活には自由がない。公儀に仕えているとはいえ、生活が楽なわけでもない。いつでも戦える心持があり、それは町人とは全く違う価値観のもとで暮らしている。浪人のように町民とともに街中で暮らす武士であれば、自由に職を選んだりもできるようだけれど、良太にはそれが叶わない。はなは、もし良太のもとへ正式に嫁げば、これからは武士の生き方を貫かねばならない。その覚悟を問うような内容が多かった。

 

ということで、これから続きを読み始めます。