Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#383 ポアロシリーズ第23弾~『愛国殺人』

『愛国殺人』アガサ・クリスティー

ポアロシリーズ第23弾。

 

そろそろアガサシリーズも再開せねばと通勤時間にKindleを開く時間が増えた。年内には読み終えたいという気持ちはあるのだけれど、まだまだ80冊程残っているので春までに!と目標を伸ばすことにした。

 

さて、本書の情報はこちら。

Title: One, Two, Buckle My Shoe

Publication date: November 1940

Translator: 加島祥造

 

本作も加島さんの翻訳で、アガサシリーズでは5冊目になるのかな?既視感を感じつつ読み進める。

 

こんな人物の間にこそ大きな犯罪が発見されるものだ、とバーンズ氏が示唆したっけが。

 

「セインズバリイ・シールの事件を解決するように、伯父に頼まれたのですってね。たしかにそうでしょ、え?

 

など、今では使われないような会話文が多いのでそろそろ新訳に切り替えても良いのでは?と思うのだが、今回は確実に「これは...」という訳があった。

 

それから一時間も経つと彼はまた思い出した――『ブライミ、たしか名前までなにかそんなふうだったよ、ミス・なんとかシールっていってた』……」

 

英語の本文はこちら

And after about another hour he registered again—“Believe she had a name, too, something like that. Blimey, it was —Miss Something or other Seale!”

 

このBlimeyはイギリスの人たちが良く使うのを聞くし、ドラマを見ていてもよく登場する。ビックリした時だったり、何か良い事があったりな時にも使われているし、逆になんだかもたついちゃったときなんかも使っている。日本語でいうなら「やべっ」とかそんな感じのように思うのだけれど、これも「なんとか~って名前言ってたんだよね。えええええええっと、ほら、あれだ!ミスなんとかかんとかシールだったような~」という使い方のように思う。ブライミという名前として書かれているのはちょっと残念。

 

英語のタイトルは童謡の歌詞で、1から数を数えつつ村の日常の生活につなげて韻を踏み、言葉の流れを楽しくつかむものだ。これがどうして「愛国殺人」と訳されているのかは謎だけれど、この歌詞がそれぞれの章のタイトルにもなっている。

 

ポアロはオシャレさんなので、身だしなみには気を使っている。もちろん歯のチェックも欠かさずだが、実は歯医者嫌いだったりする。定期健診で歯医者に行き、いつもの通りに治療してもらった。家に帰ると仲良しのジャップ警部からの連絡で、なんとポアロを治療してくれた医師が亡くなったという。しかも自殺で、銃で撃ちぬいたという驚き以外の何物でもない。

 

もちろんポアロ歯科医師の様子からそれは他殺と考え、一つ一つ謎を追っていく。その日、歯医者には数名の患者があり、医院は二人の医師で運営されていた。ポアロが歯医者に入り、出ていくまでの間のことを丁寧に思い出し、後を追う。

 

今回の作品は何となくストンと納得できない終わりだった。唐突に答えが出て来た感もあるし、翻訳の都合もあるのかもしれないけれど、誰が誰?な面がいくつか。そもそも、ポアロらしくない動きがあって、彼の叡智をもっともっと見せて欲しいかな、という気持ちになった。そして、ここにNursery Rhymesが登場しなくてはならない理由が私にはわからなかったので、いつか英語版を読んでみたいと思う。きっと何か読み落としているのだろうは思うけれど。

 

評価:☆☆

おもしろさ:☆☆

読みやすさ:☆☆