Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#323 ガイドさんと共に推理小説の夏を満喫する予定です

アガサ・クリスティー完全攻略』霜月蒼 著

クリスティのシリーズを全作紹介。

 

 

先週はなかなかテレビもネットもチェックする余裕がなく、金曜あたりから「なんか暑い」と思っていたらいつのまにか梅雨明けしていた。梅雨が明けた途端に本気の夏がやってきた感じ。ふだんは折り畳みの傘をカバンに入れていたけれど、今日からは日傘に変更するほどの暑さ。

 

夏休みが近づく頃になると新聞や電車の吊り広告に、まるで「かき氷はじめました」くらいの親近感とともに夏の読書を促す出版社の広告が登場する。夏休みの宿題の定番が読書感想文の提出であるせいだろうか、夏に作品紹介を行おうという趣旨のもとにスタートしたのかもしれないけれど、読書好きには効果てきめんで「夏こそ読書だ!」とあれこれと図書館から本を借りた記憶がある。文庫本もいくつか購入し、どうせどこに行く予定があるわけでもなかったので小中高の夏は自宅でずっと本を読んで過ごしていた。私のまわりには豪勢に夏休みを利用して海外旅行に出かけるような余裕のある人もいなかったし、せいぜいお盆に両親の実家に帰省するくらいだったと思う。

 

特に新潮社の夏の100冊はものすごく心躍るものがあって、子供のころは100という数字は「ものすごくたくさん」という感覚だったから、自分の知らない面白そうな本を見つけては次に読む本のリストを作ったりして読書ライフを妄想していた。特に新潮文庫の海外小説をよく読んでおり、新しい翻訳が出るのを楽しみにしていた。

 

 

大人になっても子供のころと変わらずに読書好きなわけだけれど、これも子供時代に出版社の作戦を素直に受けた影響なのか、なぜか夏は推理小説を読まなければという気持ちになる。一向に涼しくなんてならないのだけれど、本来はホラーや怪奇小説など背筋が凍えるようなジャンルを読むべきなのだろう。ゲゲゲの鬼太郎ですら怖くて見れないような子供だった私は、その怖いものが苦手精神のせいで100歩譲って殺人事件で冷えを実現しようという考えになったのかもしれない。そしてできるだけ海外の作品を読むようにしていた。だって日本のものだとフィクションめいていて余計に怖いし、地獄谷とか地名そのものが恐ろしいところで、しかも本当に実在する地名っていうだけでもリアル感あるのにそこで殺人事件が起きるだなんて、絶対にあとで旅行とかいけないだろうと予想、子供ながらに賢い判断であったと思う。

 

ということで、高校生くらいのころから夏はシャーロックホームズを読んでいた。ホームズは映画やドラマ化が進んでいるのでそれこそたくさんのシリーズがあるわけだけれど、何と言っても2010年のBBCのドラマは最高だった。

 



これを見てからは苦手だった推理ものや事件もののドラマなんかも平気で見られる大人になったと思う。

 

ホームズシリーズはどれをいつ読んでも新たなワクワクがあったし、私は新潮文庫版を読んでいたのだけれど、翻訳という仕事の偉大さに感動したのも本作を読んだからだ。とにかく、シャーロックホームズのシリーズを読んだことは私の中では読書における「大人の扉」を開けたエポックメーキング的な記憶となっている。

 

そのうちに他の推理小説も読んでみたいという思いが高まるが、ひとつどうしても高い壁に阻まれている作品があった。長い間じりじりと手を出せずにいた作者の存在はいつも頭の片隅に引っ掛かっていた。そう、アガサ・クリスティー。子供の頃から名前は知っていたけどタイトルも表紙もなんとなく怖いしと手を出すことはなかった。大人になり、いざ推理小説でも読もうかなという気分になった時でもクリスティーはシリーズたくさんありすぎてどれから読むべきなのかわからん、という理由でやっぱり手を出さずにいた。更には書籍を購入するとなると冊数が多いため金額的負担が大きかったことも距離を置く要因となっていた。

 

しかしミステリー界の巨匠としてクリスティの名を挙げる人は多く、こちらもコナン・ドイル同様映像化も多い上に作品からインスピレーションを得たという人のコメントなどを多数目にする機会が急に増え、去年あたりから「そろそろ満を持してのクリスティ」が来た!と思わせる出来事が重なっていたところだった。

 

そんな私を後押しするかのように数か月前Amazonがひっそりとセールを実施。その中に早川書房のクリスティ文庫がなんと半額で提供されていることを発見!今、早川書房のクリスティ文庫のページを見たら、106件の書籍が出て来たので例え半額でも全て揃えれば数万円だ。しかもKindleなので書籍を保管する場所の心配もなく、それでいて半額!これはチャンス以外の何物でもなく、ある意味「今読め」という見えない世界からの伝達とばかりにセール品としてあがっていたものを全てお買い上げという大胆行動に出たのである。新訳が出ているものもあったけれど、あえて旧訳を購入してみた。そのうち新訳も購入するかも。

 

ということで、2021年の夏は「アガサ・クリスティーを読み倒す夏」ということになった。しかし、だ。作品数が多すぎてどの順で読むべきなのかが検討がつかない。調べているうちに本書を知り、早速購入。著者はクリスティーの作品を全作完読したという猛者で、それぞれの作品の紹介から読書の愉しみ方をポイント化しており大変にファンっぷりの熱い方である。私はネタバレには慎重派なので、この書籍は読む順番を指導してくれるガイドブックとして活用することにした。

 

クリスティー文庫には番号が付けられており、その1番から順に解説しているとのことなので、私もそれに倣って読んでいくつもり。そして読んだ後に初めて、本書の内容と感想部分に触れることで妄想での意見交換を行う予定である。きっと読み落としていたり、時代背景を把握していなかったりということも本書を参考に読み進めて行けば理解度が深まるものと思っている。まだ1冊目のタイトルを確認したまでの段階なので、全巻読み終えた後にまた追記したいと思う。

 

夏休みスタート with アガサ・クリスティー