#301 やっぱり執事は魅力的!紳士はこうして飾られる!
『ジーヴスの事件簿 2』P.G. Wodehouse著
執事ジーヴス、今回も機転を利かせて主人を救う。
現在文藝春秋からは2冊が出ているのだけれど、こちらはその2巻目。数あるWodehouseのジーヴスシリーズの中からピックアップしたものが収められているようだ。
主人公はバーティーという貴族の若者とその執事のジーヴスで、いつまでたっても大人になりきれないというか、お坊ちゃま気質が抜けないというか、人は良いけれどどこか頼りがいのないバーティーのやらかす失敗をジーヴスの知恵で切り抜けるという内容になっている。
見せ場というか盛り上がり場を理解するには少し作品になれる必要があるように思う。さらにジーヴスシリーズの場合はどこかで過去につながっている場合もあるようで、登場人物は場所など、記憶の片隅に置いておきながら読んでいく必要がある。
2巻目もバーティーがいろいろと失敗をする上に、友人のビンゴまでジーヴスを頼るような展開になっていて、ますますジーヴスが片付けるべき面倒ごとが増えている。個人的な楽しみ方かもしれないが、この作品の舞台となっている時期である20世紀初め頃の貴族の暮らし方についてちょっぴり思いを重ねつつ、優雅な暮らしを想像するのが楽しい。ダウントンアビーの時期のちょっと前あたりだろうか。
ひとまず2巻までを読み終え、一度言語で読んでみようかと思うようになった。ドラマもまだ見れていないし。
執事をテーマとする作品と言えばカズオ・イシグロの『日の名残り』などでもわかるように、主人に仕える忠誠心や伝統を守り、礼儀を守り、国の礎とも言える人々というイメージがある。ジーヴスもその類からは外れないのだが、使える主人のバーティーのキャラクターのせいか、とてもおちゃめな執事なのが読んでいて楽しい。
特に服装についてのジーヴスの指摘が面白い。バーティーは奇抜な色合いを重ねようとするのだが、その度にジーヴスと争っている。そして終いにはバーティーは毎度ジーヴスの指摘に従う羽目になる。もう着ないぞと処分するようにジーヴスに伝えるのだが、いつもバーティーが言い出す頃にはすでにジーヴスが勝手に人にあげてしまっている。主人の持ち物を勝手に人におさがりとして出してしまう感覚も面白い。
6月も半ばになりそろそろ夏休みのことを考えているのだけれど、ゆっくりじっくり本を読む時間を設けられたらと思う。なんだろう。今年は気持ちも体も疲れが抜けずで早く休みが来ないかと待ち遠しい感じ。