Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#207 やや、また読む順番を間違えてしまったぞ。遅くなりましたが、直木賞受賞 祝!

 『烏金』 西條奈加 著

 金貸しのお吟と流れてきた浅吉との生活には隠された何かがあった。

烏金(からすがね) (光文社文庫)

烏金(からすがね) (光文社文庫)

 

 

まだまだ2月も第一週目だというのに、ちらほら桜の声が聞こえてくる。節分あたりから梅が咲くものと思っていたが、すでにもう桜とは!やはりこれも温暖化の影響なのだろうか。この頃は思うように外に出かけることもなく、自然の様子に全く気が付かなかった。

 

ところで在宅勤務、ガチで働ける人もいれば、私のようにかなり時間の余裕ができた人もいるのではないだろうか。昨年に比べ今回の在宅勤務、圧倒的に仕事量が減った。これはルーティーンや担当している業務がコロナ禍によりトーンダウンしていることや、スケジュールの先が見えないことから「準備」程度で終わってしまい、実行できないものが多いことがあるからではないかと思う。恐らく気持ち的な問題もあり自発的に何かをしようという行動も減っているからだろう。1か月のテレワークの結果、後半は結構だれていた。これから3月頭まで延長になるが、これはもう「学習」に向けようと思う。

 

さて、1月の末に直木賞の発表があった。本年度は西條奈加さんの『心淋し川 (集英社文芸単行本)』が受賞作として発表され、西條さんといえば時代小説をいくつか読んでいたことからとても嬉しく思った。そういえば購入したまま読んでいなかった作品があったはずとKindleをチェック、やはりこの作品が残っていた。急いで読み始める。

 

烏金とは要は高利貸しの一種で、日歩で金利が付くタイプのものだ。お吟が営む烏金屋も朝に貸したものを翌日には回収する。そもそも日で借りるというのは生活に困窮している者が多い。ある日、長屋に返済の催促に行き、貸し手先で怪我をしそうになることがあった。婆が一人で催促に行った所で力のある者ならやり込めようと思うだろうが、そこはお吟の人柄がものを言う。とにかく強い。口が悪い。がめつい婆だ。

 

そんな婆を助ける者がいた。長屋にひょっこり現れて、お吟を家まで送り届け、そして烏金の仕事を覚えたいと言う。名は浅吉、神田の火事で家が焼けてしまったと言う。お吟は怪しみながらも、お試し期間とばかりにいくつかの仕事を試させてくれという浅吉に負け、仕事をやらせてみることにした。

 

浅吉の仕事のやり方は、単に「貸す」だけではなく、返せるように商売を助けることだ。なぜ商売がうまく回らずにいるのか、まずはそれを把握する。どんな理由があって金を借りなくてはならなかったのか、どんな生活をしているのか、そこまで考えて金貸しをするものなどいなかったから、浅吉は町の人からも信頼を得る。

 

浅吉には相棒がいる。一人は人間で、師匠とも呼ばれている。この師匠は算術を心得るもので、旅をしては算術を教えている。そしてもう一人は勘左というカラスだ。勘左は浅吉が面倒を見た。道で弱っているところを師匠が拾い、浅吉が面倒を見た烏で浅吉について回る。そんな相棒とともに、なぜか浅吉は烏金の商売を手伝うというストーリーだ。

 

物語の半ば近く、貧しい子供たちが出てくる。浅吉とお吟が気分良く花見に出かけた帰り、お吟はこの子供一味に団子と金をすられてしまう。特に思うこともなく登場人物の一人として読み進めていったのだが、その一味の親玉の名前が勝平であるとあった。あれ、読んだことがあるような…。ああ、これだ。 


たしかこの本を読んだ時もその前に読んだこの作品と登場人物がかぶっていて、読む順番が逆だった!と思ったはず…。 

 またやってしまった!完全に順番が逆だった。本当は、

 

烏金(2007年)

はむ・はたる(2009年)

涅槃の雪(2011年)

 

の順で読むべきだった。完全に逆に読み進めてしまっていた。 とはいえ、それでも主人公が異なることからちゃんと楽しく読めるのではあるが、順序通りに読んでいればもっと別のわくわくがあったような気がする。

 

次は直木賞の作品を読まなくては。でもこの作品も本屋大賞受賞作とのこと。またお気に入りの作家が増えて嬉しい。