Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#180 結局今年は江戸時代にどっぷり浸かっているおりました

 『ひとめぼれ』畠中恵 著

まんまことシリーズ6巻目。麻之助は今回も冴えている。

ひとめぼれ (まんまこと)

ひとめぼれ (まんまこと)

  • 作者:恵, 畠中
  • 発売日: 2020/06/09
  • メディア: 文庫
 

 

12月の一大イベントであるクリスマス、今年は何とも「ひっそり」と言う感じ。海外のニュースを見ても今年はどの国でも礼拝など密集する環境を排除している。

 

なんとなく明るい気分になりたいと思い、まんまことシリーズの続きを読んだ。この巻が今出ている最も新しい文庫巻なので、あとの楽しみはしゃばけシリーズの新刊となる。

 

今年は時代小説を好んで読んでいたような気がする。時代小説を読むときに注意しなくてはならないのは、時代小説は歴史書ではないということ。むしろファンタジーに近い。もちろん作者はたくさんの歴史的資料から当時の文化や人々の生活を想像して素敵な主人公を書き上げる。中には実際の歴史上の人物を登場させることもあるし、歴史上の人物について書いた書籍もあるだろう。綿密に調査を重ね、本当にそうであったかのように思えるのは作者の力量であって、悪までも「そうであっただろう」という作者の想像のもとに書かれた世界であるということを忘れてはいけない。

 

日本の時代劇ドラマを見ると髪型や舞台セットなど作り物感が異様に際立っているものもたまにあるが、それでも衣装や小道具などは割と忠実なのではないかと思う。残されていたものもあるだろうとは思うが、昭和初期に作られた素晴らしい作品の影響もあるのだと思う。

 

映像は文章よりも一瞬で状況をある程度把握させる力があるので、たまに時代劇ドラマを見てそのまま信じてしまう人がいる。特に彼の国では映画を「証拠」としてしまうような輩もいる。謎である。

 

少し話がそれてしまったが、今回の一冊はファンタジー要素がとても強い。もともと畠中ワールドはエンターテインメント的な要素が強いのでそのまま信じる人はいないだろうけれど、麻之助が異様に頼もしく思えるシーンが多く、それはそれで楽しかった。

 

ところで今回は清十郎とお安も大活躍。吉五郎も少し女心をわかってくるのでは?というエピソードもありしっかりと楽しませてもらった。