#141 憧れるデザイナーさんのおうちを垣間見てしまえるお得な本
『マーガレット・ハウエルの「家」』 マーガレット・ハウエル 著
イギリスにある2つの家とマーガレットの友人たちの住まいを紹介。
本来大掃除というのはいつやるべきなんだろう。きれいに片付いた状態は常に維持すべきだし、そうしておけばいざ大掃除の時には楽だろうなぁと思う。でも神社の煤払いはたいてい12月に入ってからだし、整然とした状態でお正月を迎えたいという日本人的欲求のせいか毎年年末にわーっと片付ける感じなんだけれど 、年末って本当に何かと忙しくて時間の経つのが早すぎる。そして毎年中途半端な大掃除となってしまう。
そこで今年は11月から掃除してやろうと思い立った。まずは断捨離。しかしこの断捨離という言葉もすっかり定着したなと思う。ここからミニマリストなんて言葉も広がったし、欧米の片付けをテーマにした番組を見ているとThis is ZEN! で片付けられている。無駄を省いてスペースを築くことに魅了されている人は多いんだろうなと思う。この頃の時代小説好きが高じ、昔の日本家屋の貧に近い清廉さに憧れつつある。
今無造作に配置している物を整然とさせるにはどうするべきか、かなり悩む。憧れるのは北欧風で温かい雰囲気だったり、パリのアパルトマンなんかの雑然とした感じも好きだ。でもイギリスの重厚な感じも良いしドイツの機能性も尊重したい。そんなことを考えながら手持ちの雑誌をパラパラとめくり、そうだあれを買おうと思い立ったのが今日の本。
2006年に出た本で、撮影は89年、93年、98年とのこと。49年生まれなので40代のマーガレットの姿が収められている。シンプルな出で立ちでシャツやセーターがとてもよく似合っている。そもそもおしゃれな人というのは着飾っている時よりメイクも洋服もシンプルな方が美しさが引き立つような気がする。好みの問題もあるけれど、ジェーン・バーキンやマーガレット・ハウエルの着こなしに憧れる。アジア人でしかも一般人でもこんな風に着こなせるかは不安が残るけれど…。
本の中にあるインテリアはこれというスタイルに当てはめるのが難しく、強いて言えばマーガレット・ハウエル的なインテリアだと思った。イギリスの伝統も尊重しつつも、産業が盛んであった時代に工業ラインで大量生産されたものも含まれている。それを美しいと判断できる審美眼、もしくはそれを美しいものとさせてしまうセンスが秀でているのだと思った。
マーガレットのご自宅もさることながら、ご友人フィオナさんのご自宅が素晴らしかった。キッチンになんともぬくもりが感じられて、ああこれだ!と、最近Netflixで見る事の多かったアメリカのお片付けものにいまいち引き込まれない理由を実感。シンク一つにしても素材で味わいが変わるのは光の具合が変わるからかもしれない。偶然フィオナさんの義理の娘さんのショップを発見。イギリスのルイスにあるらしい。
ヨーロッパ、忘れがちだけれど緯度は北海道よりも北にあるのでロンドンあたりでも冬は明るい時間はほぼ無いし、夏は9時近くまで明るい日が続く。家での過ごす時間の長さやスタイルが根本的に違うわけだから、必ずしも日本で取り入れるヨーロッパスタイルが快適とは限らない。湿度も違うから窓の数や大きさも違う。そこを上手にブレンドさせながら、本物と付き合う生活を手に入れていきたい。