Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#048 整理整頓ー 片付けしたくなる本

 料理家のキッチンを中心とした整理整頓の本。

 

使いきる。 有元葉子の整理術 衣・食・住・からだ・頭

使いきる。 有元葉子の整理術 衣・食・住・からだ・頭

  • 作者:有元 葉子
  • 発売日: 2013/01/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

昨日の森博嗣本を読んで、モノとの付き合い方について考えた。人それぞれ趣味やどうしても惹かれて止まない「好きなもの」があると思う。私の場合はキッチンググッズで、便利に見えたり惚れ惚れするほど美しいフォルムを見ると、どうしても自宅のキッチンになくてはならぬと思えてしまう。しかしよくよく考えてみると、今は単身赴任中で一人の食事な上に、昼のお弁当くらいしか料理をする暇がない。これが生活パターンになってしまっているので、土日もほぼ一食で十分。キッチンに立つ時間なんて限られているというのに、それでも欲しいのだ。

 

最近は料理家さんのキッチンの使い方をテーマとした雑誌や書籍が多く出ている。何より愛するのは道具に関するエピソードだ。それ専用の本もちゃんと手元に取り揃えてあるが、料理家さんたちが何気に話すお気に入りの情報は大変貴重。

 

有元葉子さんのレシピが好きなのでいくつか本を持っていたが、最近はライフスタイルに関する書籍も好んで読んでいる。ちなみに私にはこだわりが一つあり、レシピ本は絶対に紙のものを購入する。この本はライフスタイル本なのでKindleでも十分楽しめるが、レシピは同じ本からいくつかのレシピを作ったりすることもあるので、絶対に紙でなくてはダメだ。

 

初めて読んだ有元さんのレシピ以外の書籍だが、参考になることがいくつもある。テレビを見ていて、材料の揃え方や料理をしながらの諸動作を見ていると、料理家としての芯のようなものを感じることがある。とにかく美しく無駄がない。料理が終わった段階で、キッチンがきれいに片付いている情況は当たり前。切りそろえられた材料も美しいし、とにかくキッチンが汚れない。有元さんは「片付け」と「整理整頓」は別だという。そして大掃除などもほぼ行わず、年末年始とお盆で世の中が休みになる頃、整理整頓を行うのだそうだ。

 

いらないものをなくし、なくしたら、その状態をなるべく保って、きれいにしておくことが「片づけ」の基本です。実はこれは、戸棚の中に限ったことではなく全部同じなのです。台所も、クローゼットも、車の中も、頭の中も、からだの中も同じ。いらないものをなくして、きれいにしておく──。それが、私たちが快適に生きるための最大の鍵だと私は思っています。 

 

書籍内の写真を見ると、本当に無駄がない。飾り物もないし華美な食器類もない。しかしそれがとても美しい。きっとデザインにもこだわり、無機質に見えないような工夫が凝らされているとは思うが、何もないことがベストなキッチンはずっと見ていたくなる魅力がある。

 

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北欧、暮らしの道具店より

断捨離という言葉が一時期流行りました。あれは、いらないものを捨てると同時に、外から入ってくるものもなるべく減らして、ものに執着しないで身軽に快適に生きる──ということだと思うのですが、私はそれとは少し考え方が違う。靴を1足買ったら、きちんと手入れをして(手入れをすること自体も楽しんで)、底が破れるまで履く。破れたら捨てる(捨てても惜しくないぐらい、使いきる)。衣類でも寝具でも台所道具でもなんでも、自分に本当に合うものって、そんなに多くないです。その限られたものを最後までとことん使いきる。

 

この本の表紙のミトンは有元さんが何年も使っているもので、破れては布をあて大切に使ってきたものだそうだ。こういうお話を聞くと、昔のテイラーメイドのスーツなどは着ている時にも気をつけて袖を通すし、ケアも怠らずに長く大切にする。イギリスでは孫の代にまで引き継がれたりということも多いそうだけれど、最近のファーストファッションはそれこそ使い捨てとなった。私の目指すところも有元さんと同じで、本当に気に入ったもの、自分に合うものを大切に使うライフスタイルを実践しているので、大変共感刷るところが多い。そもそも日本人はそうやって暮らしてきたはずなのだ。着物や桐の箪笥を思い出す度、我々はいつのまに大量消費社会の住人になってしまったのだろうと呆然とする。

 

 

乾物も最後まで食べきろうと思えば、品質の良いものを選び、よりよい調理法でおいしく食べようとする。その結果、ゴミが出ない──。 

 

例えば大根の皮や人参の皮。捨てますか?食べますか?有元さんはもちろん最後まで美味しく食べる側の人で、乾物にしても出汁を取ったあとでも美味しく食べる。鰹節は一度袋を開けたものは一気に出汁を取ってしまったほうが良いらしい。翌日には香りも飛んでしまうので、それならば一度に開けて出汁をとり、とった出汁は冷凍保存することをおすすめしている。

 

久々に有元本を読んだら片付けをしたくなった。今の自分に合わないものは積極的に処分しようと思う。片付けること、整理整頓すること。