Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#125 久々に読んだ日本の絶賛すべきファンタジー

獣の奏者 1 闘蛇編』上橋菜穂子 著

闘蛇衆の母を持つエリン。闘蛇の中でも最強の牙がある晩全滅する。エリンの人生はぐらりと動く。 

獣の奏者 I闘蛇編 (講談社文庫)

獣の奏者 I闘蛇編 (講談社文庫)

 

 

ふとAmazonを見ていたら4巻で終わりだと思っていたこの作品に5巻目にあたる外伝のようなものが出ていることを知った。文庫で手元に揃えていたのだが引っ越しに次ぐ引っ越しでどこかに行ってしまったのでKindle版で再購入した。

 

上橋さんの作品はどれも感動するほどに面白く、日本でこんなファンタジーを書ける人は上橋さん以外に居ないだろうと思うほどにファンなのだけれど、特に生き物の描写が圧巻すぎて毎度ため息がでる。この小説には王獣という鳥と闘蛇という龍のような水を制す生き物が登場する。ともに人間よりはるかに大きく、圧倒的な力がある。そして動物とともにそれを制する人がいる。王獣は国を司る女帝に、闘蛇は王国より広大で豊かな属国である大公領を象徴しているのだが、政治同様やはり王獣は闘蛇より強い。

 

主人公のエリンは闘蛇衆の母とともに大公領で暮らしていたのだが、ある日闘蛇の中でも最も上のランクの「牙」が全滅する事態に陥った。母はもともと大公領の人間ではなく遊牧民族の出でどこか疎まれていた。背が高く緑の目を持つことから容貌事態が大公領の人間とは違うのだ。婚家からもやはり好意を得ているわけでもなく、ついにはこの闘蛇の死の責任全てを一人で負うこととなってしまった。母が死刑となるという話を聞いたエリンは母を救うべく闘蛇で刑を執行するという場へ走る。湖に落とされた母のもとへと口にナイフを加えて泳ぐエリン。闘蛇が迫り来た時、母は「大罪を犯す。絶対に真似してはならない。」と言い残し、エリンを闘蛇の背に乗せ口笛で遠くへ走らせ、自分は闘蛇の犠牲となった。

 

1巻目はエリンが行き着いた王国での話である。川辺に倒れていたエリンはジョウンという養蜂家に助けられる。4年の月日をジョウンとともに過ごしたエリンは、動物への愛情から学びを深め、そして都市の学舎にて獣の医師となる勉強を始める。

 

とにかくハラハラしながら読み進めた。上橋さんの小説はいつもスタートからすっと頭に入ってくる。他の小説はなかなか入っていけないというか、冒頭部分を数ページ読んでやっと読書のエンジンがかかるのだが、この小説も1行目からぽんっと別の世界に取り込まれたような気分になった。

 

5巻目まで1日1冊目標に読み進めたい。