学舎で学び始めたエリンは怪我をした王獣の世話をする。
2巻目はエリンの学舎での生活がメインとなっている。学舎の長にあたる人はエリンを拾ってくれたジョウンの友人で、エリンの事情を知っている。
この学舎では怪我をした王獣の手当をする獣医の学校だった。本来12歳で入学するのだが14歳で入学したエリンは聡明さが認められて同学年とともに学ぶこととなる。
ジョウンと生活していた時、夏の小屋のある高山地域でエリンは自然の王獣を見たことがあった。雛と成鳥が自然の中で生きる姿はそれは美しいものだった。一方学舎に来る王獣は人の手による飼育のせいか羽といい毛並みといいくすんだ印象があった。
エリンは偶然、国王主催の宴で怪我を追った王獣の雛の世話をすることとなる。ここからが物語の主筋で、王獣との心通わせる過程がなんともリアルである。
このあたりを読んでいて、ハリーポッターのクィディッチを思い出した。箒に乗ってボールと自在に動く羽を追うスポーツなのだが、ファンタジーの世界であるにもかかわらずルールからその姿までありありと想像できたかのように、この小説でも王獣や闘蛇の姿が目の前に浮かんできた。今まで感動したファンタジーベスト5は全てイギリスのものだったけれど、上橋作品を読んでからは順位が大きく変わってきた。海外でも厚いファン層がいると思うけれど、もっともっと世界で読まれてほしいと思う。
2巻では王獣と闘蛇の持つ秘密が明かされる。ただ生き物として彼らと共生したいエリンと政治的意図をもたせようとする人々の思いがぶつかりあう。
さて、続きを読もう。次は3巻。