Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#309 久々に時代小説を読みました 今度は企業再建の物語

 『出世商人 (1)(2)』千野隆司 著

火事で親を亡くした文吉は育ての父親の死により奉公先から家に戻る。

 

少し前に購入していた本。この頃セールの度に面白そうな本を買っておく癖がついてしまい、未読どころかKindle本体にダウンロードできていないものが多々とある。目についたものから読むようにしているのだけれど、紙の書籍も読みたいものがあるしでなかなか既読の冊数が増えていかない。

 

手元に2冊あったことから2巻で完結だろうと一気に読んだ。1巻目は主人公の文吉の生い立ちの説明から始まり、育ての親が亡くなったことで家を継ぐことになったこと。継いだのは店だけではなく、父親の残した多額の借金も付いてきたこと。実家は建物は自前だが土地は借地だったことなど文吉の肩にいきなり「家」の重圧がかかる。母は病がちで家業のもぐさ屋を一人で背負うことは無理だった。

 

文吉は薬種問屋に奉公に出ていたのだけれど、奉公先の若旦那からは良く思われていなかった。聡い子は嫌われてしまうのかもしれない。しかしお邑という女中に慰められながらもなんとか耐えていた。ある日、お使いに出た文吉は橋の上で苦しむ女性に出会う。急な腹痛で動けなくなったとのことで、たまたまサンプルとして渡されていた新薬をその場で飲ませたところ、女性は回復した。サンプルを勝手に人に飲ませたことで文吉は店の手代から怒られてしまう。そんな折の父の訃報だった。

 

弔いに戻った実家は一見して商売が上手く行っていなかったことが透けて見え、文吉はこれから母と共にどう暮らしてくかを考えざるをえなかった。そこへ借金取りが現れ、家に多額の借金があることを知らされる。なんとか返さなくては、と頭が真っ白になるのだが、そこへお武家の身なりの男が現れる。手塚という蘭医者で文吉が橋の上で助けた女性の身内だという。手塚を通じて、文吉は薬を売る仕事で借金の完済を目指すというお話。

 

2巻目は文吉がどんどんと商売敵に邪魔をされ、ついには牢屋にまで入れられるほどの嫌がらせを受ける。始終その話が続くのだが2巻目の最初のあたりは1巻目のあらすじにずいぶん多くの時間が割かれていて、ここは無くても良いのになあと思いながら読み進めた。

 

いわゆる企業再建のお話だけれど、時代が江戸になると現代とは一風変わった仕掛けが盛り込まれている。そして読了後になんと3巻目の案内が出てきて今続きを読むか迷っているところ。