Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#092 菊の形の上菓子とは?

『いつかの花 日本橋牡丹堂 菓子ばなし』中島久枝 著

鎌倉から来た小萩が日本橋の牡丹堂で和菓子の勉強を始める。 

 

先月光文社の書籍のポイントセールをやっていた時にAmazonで購入したもの。5冊一気にシリーズものを買ったわけだが、タイトルの「日本橋」と「和菓子」にすっかり釣られてしまった。衝動買い。内容もチェックせずに購入した理由は、半額(ポイント50%還元)だからいいかな?と他にもあれこれ書籍を購入していたタイミングで、ショッピングの勢いというか、物欲の波に飲まれてというか、購入ボタンのクリックになんのためらいも感じなくなるほどに買い物づいていた時だったので、まずは1冊目からということもせずに5冊大人買いしたわけである。

 

鎌倉の旅館の次女である小萩がめったに触れることのできない上菓子を食べたことに話は始まる。こんなに美しい菓子に出会ったことがない上に味も最上。小萩は菓子について江戸で学ばせて欲しいと親に頼み込み、母の遠縁にあたる日本橋の二十一屋こと牡丹堂へ1年間の期間限定で修行に出るという内容だ。

 

小萩が惚れた菓子というのは菊の形のもので、はさみ菊というらしい。

 


和菓子職人 上生菓子「はさみ菊(黄色)」  練り切り japanese sweets wagashi  上生菓子の作り方 和菓子作り

 

とても手の混んだ、職人ならではの和菓子だと思う。これは惹かれる気持ちはとてもとてもよく分かる。こういう動画を見ると和菓子はなんと繊細なんだろうと思わずにはいられない。昔の技術を現在も踏襲しておられるわけだが、今はお菓子作りにも便利な機械がたくさんあって洋菓子のお店ではキッチンエイドなしではメレンゲも生クリームも作れないであろう。なのに和菓子は昔の道具をそのままに、職人の腕一つですべてが変わってしまう。外国の方で豆を甘くするなんて!と驚かれる方がおられるが、この美味しさを堪能できる日本に生まれて本当にありがたいことだと思うほどに私は和菓子が好きだ。

 

さて、この本も江戸時代の日本橋が舞台になっているのだが、読み進んでもなんだか受け入れがたい何かがあった。歴史に詳しいわけでもないので、設定について「間違っているぞ!」と指摘するような知識もないのだが、なんだかすとんと腑に落ちてこない。普段は読んでいるうちに登場人物の姿が浮かんでくるのだが、1冊読み終わっても全く浮かんでこない。なぜだろう。あと残りの4冊を読めば変わるのかな?

 

そして気がついた。この本、設定が江戸時代なのにカタカナがところどころに出てくるのだ。例えば「天ぷらをカラッと揚げる」のように副詞がカタカナになっていたり、ジャムが登場するのはいいけれど当時ジャムなんて言わないのでは?という素朴な疑問が浮かんだり。(ジャムは確か明治に入ってから日本に入ってきているし、そもそも中華や蘭国から情報として入ってきていたのなら、ますますジャムとは言わないのでは?中国語は果醤だしオランダ語はわからないけれどフランス語ならconfitureだし、英語ならpreserveのような気も。)

 

それが江戸にのめり込ませないぞ!という作者の作戦かもしれないので購入した5冊をとりあえず早い段階で読んでみよう。