Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#096 時代小説の悪役っていろんなタイプがいるものですね

 『ひかる風 日本橋牡丹堂 菓子ばなし ㈣』中島久枝 著

小萩のアイデアで藩からのお仕事が舞い込む。

 

昨日3巻までの感想としてこの作品は時代小説版ラノベと書いた。

 ↓ 1~3巻目の記録

#092 菊の形の上菓子とは? - Dahlia's book log だりあの本棚

#094 江戸の和菓子の作り方について想像してみた - Dahlia's book log だりあの本棚

#095 時代小説版ラノベだね - Dahlia's book log だりあの本棚

 

4巻目からはストーリーも楽しめるようになったので、このまま一息に残りも読んでいきたいと思う。

 

この小説には悪役のキーパーソンがいるのだが、江戸特有の極悪さはない。吉原+女性というだけで、生家が飢えをしのぐために娘を売ったのだろう。幼い頃から苦労したんだろう。そんな悪役の抱える心の闇が想像できてしまうので、どんな終わりになるのかがちょっぴり想像できてしまう。牡丹堂の和菓子を愛するピュアな心に改心して足を洗うか、お縄になるか、どこかに消えるか、そんなことを想像しながら4巻目を読んだ。

 

しかし吉原というのは江戸にどれだけの影響を与えていたのだろうか。この小説にあるように聡い娘が頭角を現す話はいくつか読んだことがあるけれど、算段の得意な娘が商いを担うというストーリーは今回初めてだ。江戸の人々は曲がったことが大嫌い!義理人情を大切にし、それぞれの街に誇りを持っている!のようなステレオタイプを前提に読んではいるけれど、この悪役一味が吉原と関わっているべき理由、少し期待して読んでみたいと思う。

 

さて、今回はその悪役の暗躍で牡丹堂に「新しい菓子を生む」という役割に色がついてきた。小萩が案を練り、徹次親方を筆頭に牡丹堂の職人が実現化するという枠組みが軸だ。そして小萩に役割が付いたことで、小萩の新人時代は終わりとなる。5巻目あたりからはおそらく小萩に固定客がつくような流れとなる気がする。

 

江戸は京の都ほどではないにせよ、茶の湯を楽しむ文化があり、代々京で名を挙げてきた和菓子屋も都入りし始めた時代である。今やデパートに行けば日本各地の銘菓を楽しめてしまうのだが、江戸時代の人にしてみれば日持ちのしない京都の菓子を江戸で食べるだなんて想像もできなかったことだろう。そう考えると和菓子を冷凍して宅配なんて目を回すに違いない。そんな楽しい想像をしつつ、おはぎを食べながら続けて5冊目を読みたいと思う。