Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#083 近江といえば・・・これからは「丁字麸」と言ってみたい

『東京近江寮食堂 』 渡辺淳子著

千駄木にある滋賀県公認の宿のお話。

東京近江寮食堂 (光文社文庫)

東京近江寮食堂 (光文社文庫)

 

 

ちょっと前にAmazonで購入。久々に現代風な小説を読む。舞台は東京だが主人公は滋賀県のおばちゃんで、関西弁(もしかすると滋賀弁?近江弁?)の会話がテンポよく進んでいく。

 

おばちゃんには料理人の夫がいる。夫は近江商人の立派な家の出で、長男であったにも関わらず料理の道に進んだ人。ちょっと頑固で独自の考えがあり、アクの強さのある男性なのだが、ある日ふらっといなくなった。おばちゃん(妙子)は10年待った。でも夫は帰ってこなかった。

 

ある日唐突に届いた夫からのはがき。そこにあった消印を頼りに東京へ出てきた妙子は夫を探そうと消印のあった本郷に出かけていく。初めての東京、ひょんなことから妙子は近江寮を経営する安江に出会う。安江が怪我をしてしまったことから、安江の怪我が治るまで妙子が寮の食事を「やったるで」と作ることになる。そこには滋賀県出身の数名がおり、妙子は近江料理を振る舞うのだが、これがどんなもの?と思わず検索してしまうような現地フードが満載。しかも安江と妙子の東西を代表するようなおばちゃん達の掛け合いもおもしろい。

 

日本の歴史の中で近江商人は日本の文化を方々に届ける大切な役割をしており、「三方良し」の精神で有名だ。なかなか行く機会に恵まれず今まで近江の料理を楽しんだことがなかったが、この本を読んでぜひ食べてみたいと思ったものが一つある。

 

それは「丁字麩」。麸、何気に好物である。京都の半兵衛麸と仙台の油麩はよく日々の料理に使っている。この「丁字麸」はなんと四角いのだそうだ。煮物などしっかりと味を含ませて食べるような印象を受けたのだが、どのくらいの大きさでどんな風に食べるものなのか、これはぜひ現地で食べてみなくてはと思った。