Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#079 結局は経験値を積んでレベルアップしていかない限り、いろいろなことは見えてこないよ、というお話

 『夢をかなえるゾウ 3 ブラックガネーシャの教え』 水野敬也 著

シリーズ3作目。主人公は女子。

 

さて夏休み、どうしよう。休みは自由に取れるのだが、行きたいところはあっても行くことができない感に満ちている。方々から帰省を控えるようにという声もあり、今年は黙って家でおとなしくしているのがベストと思うのだが、キリの良いところまで作業をしてから休みを取ろうにもコロナで周囲の様子が全く見えない。お得意先の皆さんも同様のようで、例年あまり尋ねられることもなかったのだが今年に至っては「夏休み、いつですか?」のやり取りが続いている。

 

さて、勢いでまずは手持ちの3冊を読んでしまえ!と今度はガネーシャがブラックになるというシリーズ3作目を読んだ。まるっきり内容を忘れていて、新しい作品を読む気持ちで楽しめた。最近「ブラック」という言葉は欧米では使い方に注意が必要になってきているが、ここでのブラックは上の表紙にもあるようにガネーシャの色が黒いということと、日本では「ブラック企業」という使われ方があるように、ガネーシャにダークな一面を植える意味があるように思う。

 

ところで、色の概念というのは国により異なるところがあるが、「黒」というのはどういうイメージがあるのだろうか。まず日本語であえて「ブラック」を検索してみた。こちらはWeblioの内容。

 

ブラック [2] 【black】

黒。黒色
コーヒーミルク砂糖も入れないこと。また,そのコーヒー
外来語の上に付いて,「不正な」「闇の」などの意を表す。

  

④がブラック企業のイメージに近いものがあるが、外来語の上につくとある。とっさに思いついたのがブラックサンダーくらいなのだが、ブラック+外来語ってなんだろう。

 

次にOxford Learners dictionaryを見てみると、

 

①色:とても暗い色で、石炭や夜の空のような色

②光がない:完全な闇

③人:褐色の肌を持つ人種、黒人

④お茶/コーヒー:ミルクを入れない

⑤汚れ:とても汚れていること、汚れに覆われていること

⑥怒り:怒りや憎しみに満ちていること

⑦憂鬱:希望がない、とても意気消沈している

⑧邪悪:邪悪または不道徳

⑨ユーモア:喜ばしくなく、恐ろしいものをユーモラスに表現すること

 


とある。この本の場合、ブラック・ガネーシャを通じて思うことは、ちょっぴり常軌を逸したパワーを持ちつつ、荒っぽさが魅力になるようなプラスのイメージがあると思う。まあ、この本が書かれた当時(2014年)はまさかこれほどまでにBlackという単語の使い方に気を遣うことになるとは思ってもいなかっただろう。ちなみに平素甘党のガネーシャもブラックになると辛い物を欲するらしい。

 

内容としては、何事もうまくいかないというOLが、よく当たると評判の占い師に見てもらい、一発逆転を図るというところから始まる。占い師に薦められた開運の黒い像を買うのだが、ここから話が思わぬ方に展開していく。今回は女性が主人公だからなのか成功の方向性が社会人としての成功のみならず、恋愛も込められており、ますます「幸せとは、成功とは」という個人の価値観と向き合うことが必要になる一冊であった。

 

作品の中で占い師は重要な役割を担っており、一見正しいと思わせるような発言なのだが、それはガネーシャの教えとは異なるものが多い。耳に心地よく、自分に甘く、正々堂々ではない方法でお金を稼ぐのではなく、損得ではなく心から真摯に向き合うことをガネーシャは問う。

 

占いにすがりたくなるほどに行き詰ってしまうことは往々にしてよくあることだ。そして占いを信じる/信じないも人によって意見が異なるだろう。信じる派は「占いは遥か古代の昔からの蓄積されたデータをもとに科学的に分析されたもの」と言うだろうし、信じない派は「未来の予測を誕生日や時間や場所や名前の画数なんかで何がわかるというのか。蓄積されたデータとは言え、数千年前のライフスタイルをもとにした指南書に今の我々の生活様式をどう当てはめるというのか。」と言うだろう。良いことを言われれば一喜一憂し、聞きたくないことを言われれば落胆憤怒する。今回ガネーシャがなぜブラックであるべきだったのかその必要性はよくわからないが、占いに目をつけられたのはとてもわかりやすい例だと思った。

 

恋愛についてはあまり参考にならないかもしれないが、はじめの一歩の踏み出し方としては、こんな方法もあるかもしれない。