Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#463 見たまま聞いたままを整理した客観的なご意見ということですね~「強運の持ち主」

『強運の持ち主』瀬尾まいこ 著

占い師になってみた。

 

タイトルに惹かれて読み始めた。だって強運になりたいのです。この頃特にそんな気分。

 

たまにものすごく運の良い人に出会うことがある。以前うちの会社のアルバイトさんの中に「くじではずれたことがない」という人がいた。確かに会社のイベントでくじのようなことがあると必ず彼女が当てていたし、人気でなかなか手に入らないライブのチケットの抽選なんかも引き当てていた。

 

一方私はくじなんて当たったためしがない。宝くじも、お年玉年賀はがきも、スーパーの福引も、アイスの棒にすら「当たり」の文字を見た記憶がない。傘の無い時に限って雨に当たる以外、そんなに良いことがぽっと目の前に落ちてくることがなさすぎて、ついにお守りを買ったくらいだ。

 

ちなみに、私の持っているお守りはこれの令和2年版のピンクバージョン。こちらは東京芝大神宮の「強運御守」です。

f:id:Dahliasbook:20220127090310p:plain

コロナでなかなか神社参りもできず、2020年以降ずっと同じお守りを持っているけれど、今のところ健康でいられるのはこのお守りのおかげかもしれない。ありがとうございます。

 

とにかく、不幸ではないし、不運でもないけれど、まあそんなにラッキーなことが簡単に起こるような体質というか運命ではないようだ。だから努力しなくてはいけないのだけれど、それもなかなかはかどらない。こちらが涙目でがんばっていても、すいすいと昇進していく人もいれば、あっという間にサクセスストーリーに乗っかっている人もいて、その度に「羨ましいなあ」とつい声が出てしまう。

 

本書の主人公は吉田幸子という女性で、またの名をルイーズ吉田という。ルイーズは占い師だ。とはいえ、何か神がかった力があってその道に進んだのではなく、会社でもめて退社した後、たまたま情報誌にあった占い師の募集を見、今はスーパーの片隅で占い業を営んでいる。

 

そんな動機でなった占い師だから、ルイーズの占いは生年月日や星座や姓名判断的なものも使うとはいえ、直観で答えるというスタイル。それがなかなか当たると評判になり、長くこの仕事を続けている。

 

さて、この強運の持ち主とはルイーズの彼である。たまたま占いに来た時、彼の星や字画をチェックしたルイーズはものすごく強運の持ち主であることを知る。そこからの動きは早かった。ルイーズは彼と付き合うこととなり、今は一緒に暮らし始めて2年になった。

 

ストーリーは占って欲しいというお客さんの身の上事情がもとになっている。それにしても衝撃的だったのは、お話を聞いて感じたことをやんわり伝える程度でも占いってなりたっちゃうんだ!ということだ。

 

実は私も恥ずかしながら何度も占い師の門を叩いたことがある。霊感的なものから、西洋風なの、中華的なの、タロット、手相、あれこれ行ってみた。雑誌の巻末にある星占いも真剣に読んだりしたけれど、確かにルイーズが言うように落ち着いて考えれば答えが見えていた場合もあったのかもしれない。例えば、「副専攻をドイツ語にするか、フランス語にするか」なんていうのは、将来使う頻度や自分の興味範囲を考えれば自分でも決めることができる。「好きな人を振り向かせたい」なら、勇気を出して声をかければいい。ダメならダメで玉砕して次に進めばいいだけの話。

 

ただ、何か大きなことを決める時には他人の意見が欲しくなったりするものだ。聞いてもらってスッキリする場合もあれば、やんわり背中を押してもらって一歩進めることもある。占いも神頼みみたいな面もあるのかもしれない。

 

辛い時、どうしても見えない力にすがりたくなるが、実は占い師さんはルイーズのように相手の話した内容から問題の芽を察知してアドバイスしているだけよ!というのならば、これからは自分の内に問えばいいだけのことなわけで、自分の中でのプライオリティーの順序を見極めさえすれば自己解決できちゃうのね、ということがわかった。そもそもみんな自分が幸せになりたいから、よりよい道を楽に選びたくて占いに頼る。でも幸せの価値観なんて人それぞれだし、同じ名前で同じ誕生日の人が同じ運命を辿るわけじゃない。

 

ルイーズはまだ良心的で、20分3000円だそうだ。私なんて、1時間数万円っていうのにも行ったからなー。結局、強運ってなんだろう。ちょっと別の意味での学びの多い一冊だったかも。