田辺聖子の短編小説。『ジョゼと虎と魚たち』など9作品が収められている。
今更だが映画化されていることを最近知った。なんと2003年に映画化されていたらしい!!!
この本の出版は1985年で、昭和の作品ではあるけれど今読んでも恋愛のせつなさは変わらない。舞台が大阪や京都が多く、関西弁とくに京都弁で語られる恋愛の機微の美しさたるやため息が出る。そしてなんと言ってもタイトルがいい。ジョゼ、虎、魚?何のことだろう?そしてジョゼという音の響きも良かった。
ここに込められている9作品は20〜40代の女性が語り手になっている。出てくる男性がどこか頼りなく思えるのは、逆に女性たちがみな地に足をつけた生活をしていることにある。もしかするとこの頃から女性の自立、つまりシングルでも暮らしていけるような時代が始まった時代の影響もあるのかもしれない。
多分昔読んだことがあったはず。昭和の女性作家として向田邦子、田辺聖子、森瑤子を読めと薦められたことがあったのを覚えているので、きっと読んでいたはず。結構な数を読んだはずなのに思い出せる作品が少ないのは、きっと理解できていなかったからだと思う。大人になった今だからこそ昭和の作品をもう少し読んでいきたい。