今日も続けてKindleで無料で読める名作のお話を。
この作品を初めて読んだのはおそらく国語の教科書だったと思います。その強烈な導入部は一度読んだだけで覚えてしまったし、いろんなシーンを文章と想像とで記憶しています。日本人ならおなじみの一冊です。
子供は純粋ですから、内容を尋ねれば「白い象が出てきて、オツベルというおじさんが象にばっかり仕事をさせて象をいじめるんだ。象は悲しくなって仲間にお手紙を書いて助けてもらうんだよ!」と答えることでしょう。
しかし世の中の酸いも甘いもかみしめてしまった社畜世代には「行間になにかある」と思わせるものがあります。この本の解釈の仕方についてはそれこそいろいろな個人の思いがネットで検索可能でしょうし、読むたびに思うことは違うと思います。何度か読み返してこそ何か深みに到達できるような小説です。
私はこの本の導入部の力強さは日本の小説の中でトップクラスだと信じています。
オツベルときたら大したもんだ。稲扱(いねこき)器械の六台も据(す)えつけて、のんのんのんのんと、大そろしない音をたててやっている。
書きたいことがいっぱいな一冊なのですが、大人のみなさん、ぜひ今一度読んでみて!と強くおススメしたいので、私の愛着は上の導入部の引用にとどめておきましょう。子供の頃を懐かしく思い出したい人にもおススメです。