Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#170 楽しみはとっておく主義です

 『まんまこと』畠中恵 著

神田の町名主の息子、麻之助は気合の入ったお気楽者。

まんまこと (文春文庫)

まんまこと (文春文庫)

 

 

畠中恵さんは時代小説を読むきっかけを与えてくれた大好きな作家さんなのだが、きっかけとなった「しゃばけシリーズ「」は毎年年末に文庫版が新しく登場する。毎年これが楽しみで、電車の吊り広告にしゃばけシリーズの名前が出てくると「ああ、今年ももう終わりかー」と季節感すら感じるほどになった。そしてその文庫版を12月中に購入し、年始の休みに読みのも恒例となっている。

 

今年の問題は文庫版で購入するべきか、Kindleで購入するべきか、なのだが今すでにしゃばけシリーズの文庫版は今年発売のものを含めて17冊も出ており、手元にある16冊の文庫本が手元にあるためとても迷っている。そもそもKindle版がでたのはつい最近のことなので、文庫の新刊がKindle版として発売されるのはこれが初めてではないだろうか。最近はKindleの読みやすさに慣れてしまっているので今回からKindle版にし、ついでに今までの16冊も少しずつKindle版に買い替えてしまおうかと思うのだが、結構な出費となるので悩ましくもある。

 

とにかく、17冊目は年始に読みたい。なのにうっかり「つくもがみシリーズ」を読んでしまい、畠中作品の世界に引き込まれ「もっと読みたい!」が止まらなくなってしまった。

 

どうしよう、しゃばけシリーズをひっぱりだしてきて1巻から読んじゃおうかな。いやいや新刊読んじゃおうかな。などなどしばし考えてから、そういえば久しく読んでいない作品があるじゃないかと閃いた。それが麻之助が主人公の「まんまこと」だ。

 

この本、今は手元になく本宅の本棚に並んでいる。ちょうどAmazonでキャンペーン的なことをやっていたので5冊分まとめてKindle版を購入した。その1冊目である。

 

江戸には裁判を行う組織として町名主(まちなぬし)というものがあったそうだ。町人の身分ではあるけれど、奉行所に行くまでもない事件などを解決するといういわば町内自治役ということであろうか。麻之助の実家である高橋家は神田でその役割を果たしており、幼馴染の清十郎の家である八木家も町名主である。もう一人の幼馴染の吉五郎は身分は武士で今は同心見習いをしている。3人は剣術の習い事で知り合ってから大人になってもつるんでいる親友同士。

 

町名主は自分の自治内に住む人々の困りごとを裁く立場なので、やはりどこか謎解きのあるストーリーなのだが、謎を解く側の麻之助のキャラクターがなんともふにゃりとしていてそれがまた面白い。鋭い推察をするのだけれど、真面目とは逆の生き方をモットーとするようになっている。

 

とにかくこの作品を読んでやっと心が満たされた。年末まで持つといいなあ。