Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#236 やっぱり道具欲は止まらない!収納とお財布と私。

『私の好きな「料理道具」と「食材」』渡辺有子 著

 道具と調味料を中心とした食材のご紹介。リストもついてます。

私の好きな「料理道具」と「食材」

私の好きな「料理道具」と「食材」

 

 

ものすごく久々に料理のお道具関係の本を読んだ。こちらもAmazonでセールの対象品となっていた時にKindle版を購入したもの。いつも欲しい欲しいと思いながらなかなか手に取れずにいた。2015年10月に出版されたとのことなので、かなり長い事迷っていたんだなと思う。

 

まず、欲しいと思ったきっかけは表紙の塩漬けの胡椒だ。仕事で東南アジアへ行くことがあり、現地で食べた生胡椒にビックリ!というのは割とよく聞くパターンだと思うのだけれど、これは経験してみないことには想像しにくいと思う。味は胡椒なのにプチプチと食感が楽しく、口の中ではじけた途端にさっと色が変わるかのようなさわやかな辛みが頭のてっぺんまで広がっていく。ホールの胡椒はたいてい塩漬けかドライしか持ち出せないのだけれど、塩漬けは生ほどではないけれどプチプチ感は楽しめる。

 

料理道具の本を読むたびに絶対に欲しくなるものがある。自己満足のレベルに過ぎないのはわかっている。これを買ったからと言って私の料理の腕がぐんとあがるわけではないし、作る料理の幅が急速に広がるなんてこともないだろう。でも、「私のキッチンには『あれ』があるのだ」と思えるだけで、ほのかな幸せが湧き上がってくる。そう、それは鍋!!!

 

鍋とか容器とかボウルとか、確実に置き場所を確保しなくてはならない大き目のものを購入する時、家にあるもので代用できるということを頭の片隅に置きつつも、目をつぶって台所の収納の様子を思い出す。やっぱりもう置けるスペースは無いし、何かを処分することで居場所を確保しなくてはならないけれど捨てるものなんてあるはずがない。お気に入りばかりが整列しているのだから。そんな理由でこれまた長く自制心を保ちつつ遠くから見守っている品がこちら。

 

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クリステルの鍋!!左の写真のようなお料理ができてしまうという優れもの。クリステルの鍋の特徴は右の写真にある手持ちのハンドルにある。鍋の両端に持ち手があるのだけれど、火にかけた鍋であれば熱くて持つことができない。そこで写真のようなハンドルを使うか、シリコン製のカバーを使って扱うわけだ。

 

さらに入れ子のようになっているので、収納も重ねて置けるという利点がある。このシリーズでそろえてしまえば、きっとレンジ台の下にいくつも収納できるに違いない。しかも小さな持ち手になることで、ガスレンジの上でもぶつかり合うこともなく調理の上でもスペース確保の利点がありそうだ。

 

海外の鍋はやはりそれなりのお値段で一つ数万円と聞いても「やっぱりなー」と感覚がマヒしてしまったかのようなリアクションが普通になりつつある。価格が高いだけにしっかり使いこなせるかどうかも購入のポイントとなるのだけれど、クリステルの場合、「熱された取っ手を素手で触ってしまうのでは?」という不安がある。いや、多分確実にやるだろうという確信すらある。それでどうにか我慢を続け、その点ではより安心なビタクラフトがあるじゃないか!と「買う勇気」をぐっと抑え込んでいる。

 

この本で紹介されているのは道具の他に食材もあり、こちらは割と近くのお店で手に入りそうなものが多く、塩漬けの胡椒以外には心惹かれるものは今のところみつからなかった。やっぱり道具が好きだから偏重気味なのかもしれない。

 

とはいえ、長く長く欲しかった本をこうして手に入れられた上に、素敵なお道具+レシピに大満足である。著名な方と同じ道具を使っているというだけで、これまた気分良く一日が過ごせてしまう。ああ、やっぱり料理はいろいろな意味で幸せをもたらしてくれるのだ!

 

#235 海外を楽しむ極意を感じました

 『フランスはとにっき 3』藤田里奈 著

ついに帰国!

 

引き続きフランス留学のマンガを読む。フランス、出来るならば住んでみたい。が、きっとあれこれ不便なこともあるんだろうなーと容易に想像できてしまう。言葉の問題が大部分だけれどこれは住んでいるうちに少しは改善できるだろう。問題はインフラ関連。日本であれば普通のことであっても、海外ではなぜか上手く進まないことが多々ある。予約をしておいてもその通りにことが運ばないことも多いし、文化的背景に溶け込めないことによるトラブルもある。パリには旅行で数回しか行ったことはないけれど、たった数日の滞在でも「ああ、ここは住むにはちょっぴり不便かな」と思うことがあった。

 

あと、空気。乾燥した国に行くと大気汚染がぐっと身に迫ってくるような気分になる。排気ガスの匂いがひどく、鼻水が出てきたり、喉が痛くなったり、リップクリームの上に何か埃のようなものがぺたぺたとくっつく感じといえばわかるだろうか。東京に戻ると「ああ、空気きれい!」と思うくらいにヨーロッパの大都市の空気はクリアではなかった。

 

著者もそんなパリの生活の中で感じた日本との違いを書いている。そして実際に直面すればきっと「なんだ、フランス人!」といらっとすることもあっただろう。それを逆に不便を楽しんでしまっているかの様子に著者のお人柄が感じられる。

 

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海外で生活するにおいて、「おもしろい!」と経験したすべてを楽しめる能力が無ければ、いつまでも「早く日本に帰りたい」と思ってしまうだろう。実際私がそうだった。空港近くに住んでいたので、ANAJALの飛行機が空に舞うのを見るだけで涙したり、そのうち人に接するのが嫌になって何もかも否定的に受け取ってしまう。滞在国と日本を比べて「だからこの国はダメなんだ!」と思ったり。

 

フランスに行く人だけではなく、海外で生活する人はこのシリーズを一読して「楽しみ方」を学ぶとよいのではないだろうか。

#234 パリでの留学生活マンガ、続きを読みました

 『フランスはとにっき 2』藤田里奈 著

フランスでのワーホリ生活、2冊目。

 

今週末で首都圏の緊急事態宣言は解除となりそうな感じ。外に出ていないのであまり街の様子がわからないのだけれど、街にはすでに多くの人が出始めているようだ。今までのような生活ができる!と喜ぶ方は多いだろう。でももともとインドア派の私にはコロナ前の生活より在宅勤務が快適すぎて本音を言えば「解除していいけど、在宅勤務は継続させてー」である。

 

しかし県外への移動が可能になるのは嬉しい。旅行に行きたくてウズウズ、出張待ちでジリジリしている人もいるに違いない。変異株が発生している昨今、簡単に諸外国への旅が可能になる日は遠いと思う。2月の旧正月の時期、ビジネストラックを利用して多くの外国人が日本に入ってきていたという話を聞いた。12月のことだが、実際私の勤める会社でも海外の得意先にビジネストラック利用しての日本入国時の受け入れ先として、1度だけ海外からの出張者を受け入れたことがある。驚いたのは入国後の対応で、日本政府側からのトラッキングや滞在の様子の確認など皆無だったことだ。滞在中の監視の目がない事が諸外国にも伝わっているとしたら、旧正月に旅行気分で来日している人がいてもおかしくない。正直申し上げて「国境閉じろ」と言いたいが、きっとあり得ないだろうな、と思う。

 

旅行はまだまだ先のお愉しみとなりそうだが、ちょうどAmazonを徘徊している時に半額近くになっていたのを知り、こちらを購入。1巻目はこちら。

 


就職が決まらず、勢い余ってワーホリでパリにやってきた著者。パリでの生活でのあれこれをつづっている。2巻目はマンガが単行本化されるということで1次帰国した後のワーホリ生活後半の生活がつづられている。全部カラーでとても豪華。

 

日本人の女の子とルームシェアをしているのだけれど、とても仲が良く読んでいてほっこりする。ルームメイトのススメもあり、著者はフランス語学校にも通い始める。

 

さて、著者はどうやら宝塚がお好きなようで、フランスの歴史ものがかなりお好きのようだ。なるほど、それならば数あるワーホリ可能な国の中からフランスを選ぶだろう。

 

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こんな感じで著者のフランス生活を楽しんでいる様子が書かれているのだけれど、こんな感じでマリーアントワネットなどにも心を寄せていて、熱の入れようにちょっと笑ってしまったりした。

 

続けて3巻目も購入。

#233 長崎弁の響きが心にしみる作品でした

 『先生のお庭番』朝井まかて 著

 ドイツ人でありながらオランダ医として出島に勤めていたシーボルト先生とお庭番のお話。

先生のお庭番 (徳間文庫)

先生のお庭番 (徳間文庫)

 

 

桜が咲いたとか咲きそうだというニュースを見た。3月も下旬となればそろそろ春の気配が色濃くなるとは思うのだが、手足が冷えてなかなか春めいた感がない。きっと家にこもってばかりで動いていないからなんだろうなと思う。

 

いつか庭を整えたいと思っている。植えたいと思う植物は多く、どう庭を整えようかと考えるだけでワクワクしてくる。とはいえ、やはり技術がいることなのでガーデニング関係の本をいくつか購入し、花の植え方や育て方を学んでいるところ。

 

よって庭がテーマの小説なんかを見つける度にチェックしている。この小説もたまたまセールの時に発見してすぐに購入した。

 

主人公はかの有名なシーボルト先生の薬草用の庭を育てていた熊吉青年だ。熊吉は「コマキ」と呼ばれていた。外国人には熊吉がコマキと聞こえたようだ。熊吉の母親はすでに他界しており、常々「お前の父親はオランダ語の通詞だ」と言っていたが熊吉は信じていなかったようだ。しかし、オランダとの縁はどこかで感じていたのだろう。

 

熊吉は幼いうちに植木屋で働いていた。下っ端だったので扱い方も悪い。そんなある日オランダ通詞の家の前で1冊の帳面を見つけ、つい家に持ち帰ってしまった。そこには蘭語の和訳などが記されており、熊吉はひとつひとつ覚え始める。

 

ある日、勤めていた植木屋に特別なオーダーが入った。出島にあるオランダ医の家の薬草園の管理という話だった。みな、恐ろしがって行きたがらずで主人一家にいじめられていた熊吉が出島へ向かうことになる。その家がシーボルト先生の家だった。

 

シーボルト先生は長崎弁を話すことができた。「おるそん」という下働きの人間も長崎弁ができた。そして熊吉は植物を通してシーボルト先生と心を通わせていく。

 

歴史に沿った話となるので、シーボルト先生が国外追放になったことは教科書にも書かれていること。(そういえば「大奥」にもあった) 


熊吉はコマキとして先生に使えていた。日本の美しい植物をヨーロッパに届けることに専念し、先生の望みを叶えるべく庭に美しい花々を取りそろえ、薬草をしっかりと育て上げた。

 

シーボルトには妻がいた。名をお滝という。二人には一人娘がいたが、シーボルトは帰国せざるを得なかった。妻子を共に連れていくことを志願したがそれも叶わなかった。帰国したシーボルトは日本で見た植物の標本を整理し、一つ一つに名を付けた。そして愛していたあじさいの学名にOtakusaと名付けている。オタクサは妻の名である。おたきさんがオタクサとなったのだろう。

 

長崎の言葉やコマキのまっすぐな心に打たれながらあっという間に読み終えた。長崎に行きたくなる小説。

#232 娘が大人になって母となり、母として今度は娘を育て・・・

 『愛すべき娘たち』よしながふみ 著

 母と娘との心のとげに触れる作品。

愛すべき娘たち (ジェッツコミックス)

愛すべき娘たち (ジェッツコミックス)

 

 

とてもとても評価の良かった作品だったので購入してみた。「泣ける!」というコメントなんかもあったりとよしなが作品は期待が高まる。

 

5編の短編が繋がっている。登場人物が微妙に交錯していて、すべて女性が主人公となっている。読み手が女性であれば確かに共感する部分もあるだろういう設定だった。

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Kindleで読んだのだけれど、1ページ目だけがカラー。この親子を軸に物語は進む。美人のお母さんは中年となり、娘は30で市役所に努めている。夫であり父は数年前に他界し、母娘二人の暮らしだ。

 

女性二人の生活というのは何かと気を使わずにズケズケと話してしまったりもするので、しっかりした絆がありつつも表面的な親子の仲はしっくりいかない時もある。この作品も同様で、母への娘の甘えが見え隠れし、読者へ母親の存在の大きさを思い出させる。

 

その母がある日唐突に再婚した。しかも自分と同世代で、いきなり同居がスタートする。20余りも年の離れた夫婦に娘はたくさんの葛藤を抱えるわけだけれど、そこは30をすぎた大人なので時期うまく折り合っていけている。

 

今や30歳で独身でもなんの問題もないけれど、この作品ではお見合いをしたりと「結婚」を迫る周りの圧迫感が描かれている。結婚とは、幸せとは、それぞれ子供の時からの環境次第で求めるものが変わるわけだけれど、「寂しさ」とどう向き合うかを教えてくれている一冊だと思う。

 

この母親はとても美しいのだけれど、なぜか本人は自分は全く美しくなく、出っ歯でむしろ普通以下の外見だと信じている。その理由が最後の作品であきらかになるのだけれど、その部分は確かにかなり切なかった。最後の作品には祖母も登場。

 

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今までよしながふみさんの作品に「BL」という先入観があり、『大奥』やこの作品のようにむしろBLが欠片も出てこない作品を読んでストーリーの深さに感銘を受けた。『大奥』は歴史をファンタジーにするにあたり、大胆にも男女を入れ替えるという想像力に脱帽し、この作品では女性の心の機微を見事に表している。

 

『大奥』の次は一体なんだろう!楽しみすぎる。

#231 まだまだマンガ読んでます!

 『美貌の果実』川原泉 著

 川原作品の傑作集。

美貌の果実 (白泉社文庫)

美貌の果実 (白泉社文庫)

 

 

こちらもおすすめ度の高かった作品で、短編が6編収められている。3冊続けて同じ著者の作品を読んだのだけれど、この作品が3作中では一番古いと思われる。

 

設定はそれぞれで前半の3編は鹿児島でパッションフルーツ、北海道で酪農、山梨でワイン醸造と地方の生活の中にある「テーマ」を描いている。後半の3編はちょっと特殊な環境だったり一風変わったキャラクターが活躍。

 

川原泉さんの作品はどの時代のものなのかがわかりにくい。例えば機械など技術の進化が現れやすいものがあまり出てこない。その時の流行の芸能人だったり映画だったり歌だったりも出てこない。強いて言えば服装が古いのだけれど、制服だったり剣道着だったりが出てきてしまうとそこもまたわかりにくくなる。一見すれば古い作品だなとはわかるのだけれど、どのくらい古いのかが全く見えてこないから不思議だ。独自の世界が確立されていて、そこに書かれている当時の「今」があまり入っていないからなんだろうなと思う。

 

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少女マンガらしい内容でゆるりとした時が全体に流れている感がある。川原作品はそのゆるり感が特徴でそこに癒されるのかもしれない。当時オンタイムで読んでおられた方にはきっと懐かしい作品なのではないだろうか。

#230 読了感が平和すぎる少女マンガでした

 『コメットさんにも華がある』川原泉

レナード現象には理由(わけ)がある』の続編。

 

続編。こちらも設定は彰英高校。けれど2巻目のほうが圧倒的にコメディー要素が盛り込まれておりクスリと笑える部分があった。1巻目はいわゆる「天然」な子が各短編の主人公だったけれど、2巻目は尋常ならぬ能力を持つ子が出てくるからかもしれない。

 

今回の主人公は霊が見える子、ゾンビ好きな子とあまり女子高生らしからぬ設定なのだけれど、群を抜いた才能が見え隠れして笑いを誘う。

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彰英高校は全国の賢い高校生が集うところなので、寮生活を送っている人や一人暮らしの学生も多い。そしてお金がないからこを寮生活かと思いきや、寮費を払えずに貧乏アパートに一人暮らしと言う子もいる。

 

たいてい定価よりも安い物件というのは過去に何等かの事故があったりするのだが、この子の家には幽霊が出る。けれど物怖じしない性格のせいか、コミュニケーションが取れることがわかった途端に共存していたりして面白い。まるで同居人かのように「ただいま」とあいさつしているし、道で見かける浮遊霊なんかとも会話しているほどだ。

 

こういう学生さん、いたら面白いだろうなあ。どんな子になるのかな。など1巻よりもわくわくしながら読み進めた。1巻と2巻は登場人物が繋がるのでできれば1巻から読んだほうが無難かも。