Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#485 紛争を知る~ 「紛争でしたら八田まで」

『紛争でしたら八田まで』田素弘 著

世界の紛争についてマンガで触れる。

 

買わない買わないと言っていながら、つい無料につられて2冊をダウンロードしてしまった。現在7巻まで出ており、そのうち2巻までが無料で読めるのでAmazonさんも太っ腹だなあと思う。

 

なぜこの本について知ったかというと、ウクライナについて調べている時に本書の紹介があったからだ。早速Amazonで検索したところ、なんと無料!と早速読んだ次第だが、なるほどと感じ入る学びの多いシリーズだった。

 

主人公の八田百合は英国にあるセントポールズアシスタント(略してSPA)で地政学リスクのコンサルタントとして働いている。ロンドンの大学を卒業。プロレス大好き。食べること大好き。見た目はただの女の子っぽいが、めっぽう強くて賢い。

 

1巻目と2巻目で扱われているのは、イギリスのBrexitミャンマーの民族紛争、タンザニアの民族間の争い、そしてウクライナだ。

 

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百合は各地へ飛んで、依頼を受けた問題を解決する。依頼のほとんどは民間から来たもので、経済絡みが多いようだ。

 

日本に住んでいると民族問題や領土問題というものに疎い。私たちの日常にもあるはずの問題だが、そこから人が人の命を奪うような争いが身近ではないから、なかなか真相を把握できない。世界で起きる問題を敏感にキャッチできないでいる理由もそこにあるのかも。

 

北京オリンピックの開会式では各民族の代表が登場していた。ニュースでは56民族とのことだったが、あれだけ広い国なので50以上の民族がいてもおかしくないだろう。民族が異なれば言葉も変わる。言葉が変われば意思疎通が難しくなり、統率は難しいだろう。現に中国は多くの問題を抱えている。

 

よって、百合のようなコンサルが現地に向かう。これはマンガなので簡単にボトルネックを見つけて解決していくわけだが、本当はもっともっと深いところに根があるわけで、マンガのような解決はほぼ無理だろう。とはいえ、本シリーズでどの国にどういった問題があるのかに触れることができる。

 

そして、その紛争リスクについては東京海上日動リスクコンサルティング会社の方のポイントが添えられているのがすごい。

 

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紛争のリスクは貿易保険の対象にならない場合が多いので、マンガで学べるのは良い事だ。例えば実際に直接間接的に接したことのある国のことであれば、関心も向けやすい。ところが全く縁のない国であれば、首都の場所、宗教、言語、それどころか国の存在すら知らない場合だってある。まんがで知識を向けるきっかけを作るのは良い事だと思う。そこから自分で調べるならば、さらに良し。

 

ウクライナの問題は2巻では終わっておらず、3巻目も読んでみようかなと思っているのだけれど、ひとまず未読本が減ってからになるだろうな。