香港を舞台とする金融小説。
天気がものすごく安定しないので気持ちも少しどんより気味。こういう時は片付けに限ると思うのだけれど、家の中のものは大がかりになってしまう。なのでまずはパソコンや携帯の中を整理してみた。Kindleの中身もチェックしたのだけれど、未読本が100冊を超えており、これはいけない!と焦ってしまった。そもそもアガサシリーズだけで100冊くらいになるのでこのボリュームは仕方ないかなとも思う。でも紙の本もカゴに積まれたままだし、欲しい本はあるしで目についた作品から読んでいくことに。
本書は2003年の発売で、物語の舞台は2000年になる直前の香港になっている。主人公は30代前半の男性で、金融業界を渡り歩き、アメリカから香港に流れてきた秋生。この名前は実は仮名で、小説の中では一度も本名は語られていない。
この本を買ったのはセールの時で、香港が舞台だというだけで購入した。香港、行きたいなあ。。。長くどこにも行けない日々が続いているせいか、知っている地名が出てくるだけでウキウキしてしまった。秋生の香港での生業は何ともつかみどころのないものがあり、FAとは言えば聞こえは良いが、脱税やオフショアなどなど「いかに税金を払わずに資産を守るか」ということを教える立場にある。香港だといろいろな裏技があるんだなーと思いつつ読んでいくと、やはり大金が絡むせいだろうか。ちょっぴりハードボイルドが入った感じに仕上がっていた。
まず、主人公の秋生は一匹狼風で、香港の裏社会に出入りしている感があって影がある。ガツガツした感はなく、才能を隠しつつ闇に紛れてる感じ。そしてハードボイルには美人がつきものだが、秋生の出入りする何でも屋に若くて美人で有能なお嬢さんがいる。この子だけでもアイドル的な要素はあるけれど、やっぱり誰もが振り返るような美人も登場し、この美人が嵐を巻き起こす。
美人はもちろんハードボイルドでは追われて逃げて、彼女を追いかけるのは顎が割れてそうなごっついそれなりの怖いところに所属する人たちなのだけれど、ちゃんとそういう人も思った通りの登場っぷりに「おお!」となった。
内容としては、金融の話は文句なく面白く、そこにちょっと無理設定のハードボイルドが入ってくるがポイント。でもそれが話を面白くしている感も十分にある。あっという間に読み終えてしまい、読んだ後は自分のお金をどう守ろうかと言う気にさせてくれる。
たまには経済小説も面白いなーと思った次第。