Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#195 もうすぐ終わると思いながらシリーズものを読む

『髪結い伊三次捕物余話 12』宇江佐真理 著

 不破家についに家族が増える吉事。

名もなき日々を 髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)
 

 

結局パソコンを購入してしまった。この頃はスマホの本体が10万円を超えることもざらなので10万円代のパソコンの価格が妥当なのかどうかよくわからないが、さほど価格に差はないにもかかわらずスマホを購入する時以上にひどく悩んだ。なんだかんだと数か月、買おう!⇒いや待て、やっぱりやめよう!⇒いや、必要だし買おう!⇒いやでもここでこの出費は許されるのか?やめよう⇒でも12インチじゃ作業しにくい…を延々と繰り返していた。

 

画面が小さいことから不便を強いられてはいるが、まだ使えているという現状の他、個人の楽しみではなく仕事のために購入しなくてはならないという点に不満があるせいだろうか、悩んだ挙句に購入したのに気持ちがスッキリしないままだ。自分の好みのためならば間違いなくMacbook airを購入していただろう。最近新しくなったし。しかし仕事で使いにくいうえにOfficeソフトを購入したりと結局仕事周りを整えると割高になる。最終的にHPの15インチのものに落ち着いた。

 

というわけで、本体到着前の待ち時間を過ごす今、未だ散財してしまったという感がぬぐえずにいる。きっといざ目の前に現れ、仕事などなどをしてみれば「買ってよかった!」と思うであろう。というか、そう感じなければ買った意味がなくなってしまう。特に期待しているのがマンガを読むことで、今はほぼKindle for PCで読んでいるのだが、それが少し楽になりそう!というくらいだろうか。

 

在宅勤務に入ってから夜の読書時間が少し伸びた。あとがきで著者が病を患っていることを知ってから、髪結い伊三次のシリーズが気になってしょうがない。他にも読みたい本を並行して読んでいるのだが、今はとにかく伊三次を読み切ってしまおうと思っている。

 

このシリーズすべてKindleで読んでいるので紙版はどのように表記されているのかわからないのだが、12巻目から著者のあとがきが無くなり、そして著者の履歴に27年11月没との記載が加わっている。あと数冊で終わってしまうという寂しさが湧く。無事に終わるのだろうか。

 

12巻目、伊三次の息子の伊与太は師匠が亡くなり、同じ歌川派の若い画家のもとへ手伝いへと向かうことになる。師匠と弟子の関係ではなく、あくまでも手伝いとのことなのだが、実際には弟子と同じような日々を送っている。芝よりは実家にも近い。国直という画家は若いながらもすでに一人前の画家として活躍しており、かの葛飾北斎とも親しい関係にある。伊与太も国直とともに北斎を訪ねるのだが、その仕事ぶりに圧倒されていた。

 

伊与太が出てくると、不破の娘の茜の奉公のことも気になる。著者が函館のご出身だからであろうか、茜の奉公する先は北海道の松前藩でそこで女ながらにも警護のような仕事を担う。松前藩は1万石の小さな藩のようだが、江戸には下屋敷も持っている。時期藩主となるであろう長男は体が弱く、茜のはっきりした物言いを好み茜を常にそばに置いていた。藩の政治には時期当主を巡る裏の世界がつきものだが、ここでもやはり同じような状況があり茜も巻き込まれる。あと数冊で茜の行く先は見えてくるのだろうか。今、それが一番気がかりだ。

 

そして不破家にも変化が。一人目は生まれる前に命を落としたが、龍之進ときいに息子が生まれた。きいは妊娠中とにかく食べ続けている。産み月にははちきれそうなおなかだというから、それは元気な玉のような子だろう。息子が生まれるまでもハラハラが続いたのだが、ひとまず不破家は安泰のようだ。

 

病床にありながら作品を生む力に圧倒されつつ、ぐいぐいと話に引き込まれる。特に最近は伊三次一家がメインになることが増えているのでより一層次が楽しみになる。それにしてもあと数冊か。やはり生死に関わる表現も増え、自ずとシリーズの終わりが迫るのを感じてしまうのだが、11巻、12巻は逆に伊三次の生き生きとした姿が力強い。