Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#194 自分磨きについて説得力のあるフランス式美容マインドの本

 『フランス人の気持ちいい美容生活』佐藤絵子 著

南仏プロヴァンス式、ナチュラルな美容レシピ。

 

ふと気が付くとフランスにどハマりしていることがある。何が引き金になっているのかわからないこともあるくらいに唐突で、ほんの些細なことがきっかけなのだ。例えば音楽であったり、映像であったり、記事であったり、雑貨であったり、一度スイッチが入るともうフランス三昧になりたくて仕方がない。今回のフランス病は先週『アメリ』を見たのが原因だとは思うけれどもう止まらない止まれない。この平たい顔に黒い髪でパリジェンヌになれるわけでもないし、マダムと呼ばれるほどのエレガンスも無いくせに「フランス人になりたい!」と心の声が肥大化し続けている。フランス人(風)になるためにどうすべきか。問題が起きたら本に答えを見つけるのが最短のはずと手元にあるフランス関連書籍を読み始めた。

 

この本はパリ在住の日仏ハーフの佐藤絵子さんが、ちょうどよいバランスでフランスを紹介しているシリーズで1番最初に文庫で買った『フランス人の贅沢な節約生活 フランス人的生活 (祥伝社黄金文庫)』がとても読みやすかったのでこちらともう1冊も購入してみた。今ならKindle Unlimitedで無料で読めるのでおススメだ。

 

佐藤さんのお父様はこの本によると日仏クウォーターらしい。そしてお母様はフランスの方。夏のヴァカンスは毎年南仏に出かけていたそうで、花や野菜を育てるコテージに滞在していたとのこと。そのご主人がとてもハーブに詳しかったことや、パリの祖母から教えてもらった昔ながらの美容の知恵がレシピややり方とともに紹介されている。

 

本当に素朴な美容レシピの一冊なので「これは効きます」的な速攻性はない。そして美は内面からというフランスの考え方が基本となっているので、ダイエットを促進したり、メイクの仕方を紹介するような本ではない。むしろフランスはナチュラルメイクが主流であり、パリの街中を歩いていても日本の雑誌に出てくるようなおしゃれパリジェンヌなんてほぼいないし、セクシーさは内面からあふれ出るがゆえにぽっちゃりタイプでもビキニでビーチに立つ!という、逆に美から遠い人たちを勇気づけてくれる内容である。

 

庭からハーブを摘み、新鮮なうちに使える贅沢は日本では難しいのかなと思う。ドライのものですら結構なお値段のものもある。タイム、ラベンダー、バーベナ(フランスではベルベーヌと言う)などを昔ながらのフェイススチームとして、フレッシュなハーブティーとして、入浴用として使う方法の他、個人的にはこれが一番うれしかったのだがワインを使った飲み物のレシピが多々紹介されていた。

 

下戸なのでコップ1杯のビールすら飲めないくせに、日本酒が好き。おちょこ1杯飲むことを目標に目下数年練習中なのだが、今のところ相変わらず具合が悪くなるし楽しく酔えることはない。多分日本酒が好きなのは、料理をするときの何とも言えない深みが好きだからだと思う。(甘酒は酒粕から作る派です。)

 

ただ、ヨーロッパだとこれがワインに取って代わる。ドイツやヨーロッパの小説を読んでいると、冬になると必ずホットワインを飲んでいるシーンが出てくる。風邪をひいた時にもたまご酒ではなくホットワイン。そういえばたまご酒って飲んだことがないな。とにかく、そんなワインのレシピが長く気になっていた。赤白シャンパーニュにハーブを入れることでまろやかな風味を醸し出す。

 

ただ、そもそも下戸な上に幅広い知識が必要というワイン。ビールや日本酒と違い、作られた年のビンテージ事に毎回味が異なって当たり前という世界なので、価格もピンキリ感がすごすぎる。よって、気軽に試したくともどれを買うべきかわからずにいた。当然国ごとに料理が異なるわけで、ヨーロッパでもドイツ、フランス、イタリア、スペイン、それぞれ風味が異なる(らしい)。気候の差もあるだろうが、風味が異なるというのはレシピの上では大いに問題である。フランスのレシピ本にあるホットワインはおそらくフランスワインで作ることを想定としていると思われるので、イタリアワインで作ると「なんか違う」なんてこともあるかもしれない。

 

最近安価で手に入りやすい南米や豪州産でもきっとおいしいホットワインは作れるはずだ。が、オリジナルを飲んだことがないので手を出すことなく過ごしてきた。ホットワインを試すために一瓶購入というハードルの高さももちろんあった。余ったものは料理に使えばいいのだろうが、あいにく余った赤ワインで作る料理を知らない上に「肉と煮込めばいいよ!」との気軽なアドバイスに従ったとしてもきっと好みの料理ではないと思う。

 

というわけで、長い間気になりつつも手を出せずにいたホットワインのレシピに加え目安となるワインの選び方があるこの一冊はまさに欲しいものであったのだ。あと合わせるべきフルーツやハーブの詳細、そしてホットワインでもいろいろな種類があると知って驚いた。シナモンスティックはホットワインの写真に必ず登場しているし、スターアニスも入りそうな気もする。形がきれいだし。オレンジやレモンの皮もありそうだ。そのあたりの予想は大体当たっていたのだが、私が全く考慮していなかったものがある。それは「砂糖」。そうか。甘味も入れるのか。はちみつで代用も可能とのことなのだが、はちみつもこれまた品種が多いのが悩みどころである。

 

どのレシピも同じだが、材料の選び方一つで風味ががらりと変わる。少しずつチャレンジすべき冬のレシピとしてぜひ楽しんでみたいと思う。1本買ってハーブを仕込み少しずつ温めて楽しむのも良いかもな。

 

レシピの一つ一つにフランスを感じられたのも良かった。しばらくは酒屋に出向くことができそうにないが、まだまだ先ではあるけれども今年のクリスマスあたりには絶品レシピにたどり着きたいという目標ができた。クリスマスか。あと焼く11か月後の日本はどうなっているだろうか。